2013年5月22日水曜日

【読書】システム設計の謎を解く 強いSEになるための、機能設計/入出力設計の極意


モニターということで、ソフトバンククリエイティブ様より御本を贈って頂きました。ありがとうございます。





まだ隅々までは目を通しきれてはいないのですが、いま読んでいて思ったことなど書いておきたいと思います。



■はじめに

この本の最後の章には次のような記述があります。

・本書は共通・文書化などを取り上げているため、「ウォーターフォール」型開発に関する書籍だととらえられてしまうのではないかという危惧を抱いています。 
・本書ではあえて設計や文書化の方法に多くの説明を行っています。これは、「設計要素を知っていて文書や記述を削る」のは適切な行為だと思いますが、「設計要素があることを知らずに文書や記述を削る」のは品質やプロジェクトの遂行に対してマイナスの要素をもたらすと考えているからです。 
・アジャイル開発では「設計はしない」「設計書は書かない」ととらえているとしたら、それは誤解です。アジャイル開発においても当然設計は行います。

この本自体は、要求から始めて段階的に設計を詳細化していくというスタイルで記述されており、一見するとウォーターフォールなソフトウェア開発における上流工程のエンジニアリングについて書いてあるように見えます。

しかし、先ほど引用した文章に書いてあるとおり、著者の意図は『この本に書いてある順番どおりに設計プロセスを進めて欲しい』ではなくて、あくまで『各種設計フェーズにおける検討事項や設計する際のポイントについて理解してもらいたい』なのです。

ここを押さえて読むのと押さえないで読むのとでは、だいぶ受ける印象が違うと思います。

※なお、3つ目の引用では、アジャイルと設計・ドキュメンテーションの関係について触れているのですが、この点はとても大事だと思います。大事なことなので繰り返し書きますが、アジャイルなソフトウェア開発でも設計はするし、必要なだけのドキュメントは書きます。



■感想

システム設計についてこれから始める人にとってはいろいろ便利な本なのかなーと思いました。

タイトルにあるとおり、この本はシステム設計についての本なので、システムを構築するにあたっての知見がいろいろと詰めてあります。例えば、要件定義から設計の間にやるべきこととして、次のような作業を上げています。

●全体設計
・システム境界図
・システム俯瞰図
・サブシステム連携概要
 
●アーキテクチャ方針
・オンラインアプリケーション方針
・帳票出力方式
・ジョブ管理・実行方針
 
●標準設計
・文書テンプレート
・記述粒度・ガイドライン
・設計基準
 
●共通設計
・画面共通
・帳票共通
・バッチ共通
・DB共通
・メッセージ共通

割とがっつりと検討してますよね。で、この"がっつり"という点が個人的には重要だと思っています。

例えば、システム設計について経験したことが無い人がその辺りの知識を自主的に学ぼうと思った場合を考えます。個人的にちょっとしたツールなどを作るときに、設計などやってみて知見をためるというのは1つの優れたやり方ではあるのですが… こと設計については話がやや異なると思っていて、それは"ちょっとしたツール"という規模だと、上述したような質・量で事前の検討はしないと思うからです(してもあまりメリットを実感できないと思います)。つまり、そこから学ぶことができるはあくまで"ちょっとしたツール"の規模の複雑さと、それに応じた設計までにしかならないということです。

あるいは、自主的に学ぶのではなく実際にシステムを作るときに失敗などを経験し、そこから学ぶのもよいのですが、現場で失敗するのはいろいろとおいしくないし、それよりは先人の知恵から学んだ方が良いわけで、そういう意味でこの本は便利だなーと思いました。


で、この本を読む時、成果物として定義してあるドキュメントの書き方からそのまま覚えていくという、ストレートな学び方もありだと思うのですが、ここまでかっちりしたドキュメントが必要となる現場はともかく、そうでない現場にいる人であれば、もう少しエコに読み進めていくのが良いとも思います。

システムの構築を行う際にその設計が求められる理由や、その設計を行うことによってどのようなリスクを事前に考慮できるのかなど、そういった観点に立って読んでいくと良いということです。


また、粒度や方針・整合性といった、一貫性のある設計をするのであれば否応なしに意識せざるをえない観点について、繰り返し記述が入っているのも良いと思いました。そういうのは大事です。

設計における一貫性を検討しない(設計思想がない)まま実装を始めてしまうと、やはり当然というか、コードからは設計レベルにおける意図が見えてこないような成果物ができてしまうだけなので… やはりそういうソースは保守していくのも面倒だし…



■最後に

この本はオブジェクト指向やドメイン駆動なアーキテクティング・デザインについての本ではないと断ってあるのですが、OODやDDDから始める場合だってオブジェクトを永続化するのに使うのは大体の場合DBなわけで、そうであるならI/Oやトランザクションについて検討するのはやはり重要なわけです(この本に書いてあるような事柄を検討しないまま実装するとだいたい後で酷い目に会います)。

この本は、そういう意味でも"開いた"内容になっているので、この本に書いてあることがズバリ当てはまるような業務系のSEだけではなく、広い意味で設計に関わっていくような人はまず押さえておくとよいのかなーと思いました。

個人的には、手元においてハンドブックみたいに使おうかなーと思っています。


2013年5月19日日曜日

『「パタン・ランゲージ」って 知っていますか?』ノート

2013/05/18に開催された『「パタンランゲージ」って 知っていますか?』のノートです。



◆パタン・ランゲージについて

◇パタン・ランゲージという呼称について
・なぜパターンではなくてパタンなのか?
 →パターンは実際の発言にあってないから
 →パタンの方がより近い
・パタン・ランゲージという呼称が定着したのは?
 →本が出たときは『形の言語』とか『造詣言語』とかいろいろ言われていた

◇パタンの意味について
・日本
 →同じ形が繰り返されるというイメージ
・外国
 →様式とかスタイルという意味も含んでいる
 →形は変わるけど、同じルールでやっているという意味合いの方が強い
・『パタン = すごく堅苦しい感じ』
 →みんなの考え方の中にはそういうものが多いが、そうではない
・PatternのPa-について
 →日本の汎(すべて)と同じ意味
 →Pattern = 大元の原型という意味

◇パタン・ランゲージの普及
・ITに応用された
 →GoFという人達がパタン・ランゲージをITに応用
 →IT業界ではパターンに基づいて研究するグループなどが現れている
 →→IT業界でパタンランゲージという言葉は意外と知られている
・慶応大学でも使っている
 →伊庭先生が学習・勉強するときのパターンを作っている
・勉強の方法教えるためのパターンとして教えている
 →パターンには方法を教えるという意味もあるということ
・ダンスの世界でも使われている
 →振り付けの人が振り付けを記号化するのに使ったりしている
・パタン・ランゲージとは何か?
 →ある1つのものを作るための方法
 →再現するための方法



◆アレグザンダーの話

◇2年前、中埜さんがロンドンにアレクザンダーを尋ねたときもらったメッセージ
※あくまでノートなので、正確な書き起こしではありません

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中埜さんが私に何か短いスピーチをしてくれと言っています。
彼は地震や津波でいまの日本が大変な状況に直面していると感じています。
日本人はこの災害で大きく自身を失い、『どうやって復興すればよいのか?』という道すら失いかけているということでした。

実際にはこれは日本だけの出来事ではありません。アメリカも同じです。
はっきり口に出す人は少ないですが、英国も同じです。
多くの国々で、人々は同じような喪失感にとらわれています …ではどうすればいいのでしょうか?

私はずっと長い間こんなことを求めてきました。
 ・美しさとは何か
 ・何が正しいのか
たいへん子どもっぽい疑問ですが、もう充分年を取ったのでそう言われるのは構わないのです。

助言するのであれば… 何かを決定するとき、何かの行動をするとき、何かを作り出すとき、そういった活動全てに対して、いつでもそれは本当にあなたの『心の内部からにじみ出る美しさ』に裏付けられているか?です。
それは『心の内部からにじみ出る美しさ』に自分が貢献できているか?ということです。
行動でも、発言でも、絵を描くときでも… 老人をバスに乗せるために手伝っているときでも同じです。
『心の内部からにじみ出る美しさ』に、あなたはいま貢献できているかということなのです。

この問いを真剣に行うなら、本当の変化が起こるでしょう。
初めて聞く人の中には『それに何の意味があるのか?』と思ったり『ばかげている』と一笑に付す人もいるかもしれません。
しかし、この現実的な美に直面すれば、まずあなた自身が変わることでしょう。
そうすれば、それを見ている人々が変わります。
そして、そのことについて考えていた人々が変わります。
その時に新しい道が開けるのです。

これは単純なことですが、、たいへん力があります。
なぜならこれは心(Kokoro)の底から生まれてくるものだからです。

これはとてもささやかな助言ですが… あなた自身の人生をも変えることでしょう。
世の中のいたるところに散らばっている小さな美しさを見つける努力をして欲しいと思います。
この台所で話し合っていたようなことや、緑の隙き間から見える木漏れ日が美しく、かわいいことなど… それは"大げさな"ことではありませんが、"大きな"ことです。

この小さな景色を探し続けること、その小さな行為を求め続けること、小さな心の感動を感じ続けてください。
それらのために、その感動が人生に貢献するように生きていこうとするのであれば、どんなものであってもそこから切り離すことはできません。
ただ、その中でも、お金は非常に醜い方法で切り離そうとしてくるでしょう…
しかし、緑の木々の葉の木漏れ日は、けっしてあなたの心から切り離すことはできないのです
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Message from Prof. Christopher Alexander



◇でも… 内的な美しさって難しい
・疑問がある
 →内部からにじみ出る美しさとは何か
 →そういうものに感動する心を追求することがいかに世の中を変革するのか
 →それだけの力があるのか
・そういう意味で彼の言っていることの意味は分かりにくい
 →今日の2時間で少しでも近づいて欲しい

◇「豊かさの貧困」という絵
・中埜さんが学生運動時代に見た絵
・ペットに囲まれ広い豪華な家に住んでいる未亡人。テレビ越しにアフリカで飢餓していく人のテレビを見て泣いている
 →豊かで満たされているけど何かが無い
 →それは我々も同じ
・豊かにはなったけど、そこに実質的なリアリティがあるのか?という話
 →今も当時と変わらなくなってしまっている



◆パタンと自意識の手前にあるものの関係

◇ラマチャンドランの実験『ブーバ/キキ効果』
Q. どちらがブーバで、どちらがキキでしょうか?
1. ☆
2. δ

(会場のほぼ全員がブーバ = δで、キキ = ☆と答える)

・どうして音が形になるのか
 →音の持つ印象とその絵の印象?
 →→でも音を説明する方法は難しい
・なだらかに音が変わるブーバと、鋭い音の集まりのキキ
 →そもそも脳の反応の仕方として違っていて、それが印象に跳ね返っている
・『自意識に存在しているけど、自意識になっていない』
 →そういうものがあるものがあるということ
 →言葉で説明されなくても分かることがたくさんあるということ
 →意識は言葉以前に存在するということ
・自分達の中に存在しているけど、自意識になっていないものがある
 →実は意識の直前で判断しているものが多い
 →何かが意識の前にあって判断しているということ
 →→自意識は意外といい加減だということ

◇ワーク : 2枚の絵がひたすら出てくるので、どちらが好きなのか選ぶ
・観点
 →どっちがいいか
 →どっちが嫌いじゃないか
 →どちらにいたいか?
 →どちらがよりなじむ感じがするか?
・自意識を抜きにして、質問をきちんと定義しないで応える
 →この体験を何回も繰り返すという体験
 →これと同じことをパタンでも行う
 →→そうすることで、パタンに本当に力があるのかを見分けることができる

◇自意識の直前にあるものと哲学の関係
・りんごを見ると人はどうなるか
 →甘い、おいしい、やわらかいと思う
 →でも、言葉でそう思うより前、りんごを見た瞬間に体験する何かがある
・それを哲学の世界(西田幾多郎)では純粋経験といっている
 →言葉の前に感じる意識
 →意識の前に経験すること
 →→このような感覚をパタン・ランゲージの実践者は重視している

◇パタンは調査やヒアリングに基づいて作ることができる
・傾向を探るというのもパタンを作る1つのやり方
 →「何をしたいか」という観察やヒアリングによって
・多数決で決めるやり方もある
 →人間が一番好きなことやりたいこと美しいこと

◇博物館にある高級な陶磁器
・「なぜこれが高級なのか?」をパタンの観点から見ると
 →モノが作りだす形(それが外を区切る形)が美しいのではないか?
・これがパターンにおける見方の1つ
 →言われると「あっ、そうだな」と分かる類のもの
 →→それがパタンの1つの性格




◆パタンについてその他

◇パタンの大事な役割
・共通言語
 →組織を作るとき、組織を動かす共通言語があるべき
 →いいのは分かるけど、何がいいのか口に出すことが出来ない
 →それをできるようにするのがパタンランゲージの役割
・一番リアリティがあるものを描き出す
 →パタンはリアルな世界を発見することから始まる
・現実にはないものを認める
 →我々の感覚で凄くいいと思うことを大事にするため

◇パタンの書き方
・寅さんの家
 →自分の家の中に半分は公共、半分はプライベートという空間がある
 →それが寅さんの家を非常にユニークにしている
 →→でも似たようなものが世界中にある
・ペルーの集合住宅
 →入り口にたまりがある
 →どんな家族が戻ってきても挨拶してから入っていく
 →何か寅さんの家の機能に似ている
・これをどうパタンとして書くのか
 →パタンは具体的な行動を呼び起こすように書かないといけない
 →→『家の中に半分公共で半分プライベートな空間を作る』とは書かない
 →→『大切な空間では、いろいろな人が横を通り過ぎるようにしなさい』というのがパターンの書き方
・パタンは、具体的な行動が起こるように考えて書かないといけない
 →パタンがある性質を持っている
 →→「どうやったらそれを実現できるか?」
 →→→「どうすればそういう行動が起こるか?」
 →→→→そういう行動が起こることまで念頭に置いて書く

◇パタンの難しさ
・実現するのが難しい
 →そもそも、パタンは言葉に出来るよう発見するという行為
 →言葉で書いてあるものを読んでもなんでもないように見えてしまう
 →→簡単なことだけど実現するのが難しい、ということになる
・発見が難しい
 →今ないものを作り出さないといけない
 →→でも、言ったものがすぐパタンになるわけではない
・パタンの見つけかた
 →観察する
 →起こっている人間の行為を描く
 →発見する

◇ボトムアップ(下から意見をくみ上げるとき)にもパタンが使える
・ボトムアップには以下の作業がある
 →課題の発見
 →いまそこにないものへの仮説
 →それを動機付けする
・全部やらないと成功しない
 →それがパタンの仕事

◇どうしてボトムアップにパタンが使えるのか
・パタンランゲージの役割
 →発見 : 新たなパタンを生み出す
 →今そこに無いものを見出す(仮説) : パタンを通してそこに今ないものを見ることができる
 →動機を作り出す : 欲しいものを言えるようになる
 →自分だけの希望を作り出す : つなげて物語を作り出す
・パタンというのはみんながやっている当たり前のものをただ書き出したもの
 →これをくっつけてエピソードや自分の建物、街や仕事場を作らないといけない
・パターンの合成されたものを持ち、それを合意する
 →エピソードを組み合わせて長いストーリーを作り、それがどうであるか見る
 →その物語をみんなで合意することで動機がうまれる



◆パタンを使ったコミュニティビジネスの事例1. 東北

◇東北
・震災後、建物は残らなかった
 →施設がなくなってモノが消えた
 →残っている建物も焼けて中は真っ黒で壊さないといけない状態
・報告書の表紙に広重の絵を使い、非難を受けた
 →舟で頑張っている人がいるので、我々も頑張ろうとして使ったが非難された
 →それだけショックが大きくすごかったということ
・東北の復興にはすごく難しいものがある
 →あれから2年間たったけど、そのときから何も変わってない
 →難しさを知ったとき、パタン・ランゲージの考え方を思いだした

◇東北で何をやったか
・東北で一番最初にやったこと
 →二週間避難所に泊り込んで聞き込みしてパタンを作った
・一人ひとりの一番希望していることや要求をつかむのがパタン・ランゲージ
 →1人1人個人面接をした
 →→最初はどう生き残ったかという話
 →→津波が来たので逃げて、自分だけ助かった話
 →→渋滞中、自分達だけ津波に気づいたので逃げて助かった話
 →そこまで話してからパタンの話を聞いた
 →→ほとんどの人が60以上
 →→ここから墓に行くのはかなわない
 →→仮説から火葬はたまらない
・聞き取りをして、みんなが欲しいものが変わっていることが分かった
 →再演 野菜をたくさん作ってみんなに配りコミュニケーションしたい
 →納戸 いろんな財産は流されているけど残っているものがある。家や村にとって大事なもの
 →作業所
 →中央広場
 →コミュニティガーデン
・それぞれ、自分のことだけではなく町全体のことを考えていた
 →個人的なことを言っているようだけど、どれもコミュニケーションについてのことだった
・聞き取りをして、自分が欲しいものを書き出してもらう
 →そうすることで、みんなの共感覚が見えてくる
・大災害で追い詰められて極限まで追い詰められたときに出てきたもの
 →豊かで何も困っていないときに聞いたのではない
 →究極にまで追い詰めてまで聞かないといけないときがある
 →それくらいやりたいことの根源を追求するのがパタン

◇まとめ
・パタンは人を観察して、人のやりたいことを書き込むもの
 →実際にはそれだけではない
・パタン・ランゲージは観察しそれを書くだけのものではない
 →『一番上手くいくであろう方法を発見し仮説化する』というのも考えている
・パタンを組み合わせてパタン・ランゲージを作る



◆パタンを使ったコミュニティビジネスの事例2. 南紀白浜

◇浜通り商店街
・この町の活性化
 →昔は大阪の避暑地だったが勝浦に負けてしまった
・1年のうち2ヶ月で食べている町
 →避暑地以外には何もない町
 →でも行ってみると温泉があって1年中利用できる場所だった

◇町おこしの為にやったこと
・まず4年間住み込んだ
 →住み込んでパタンランゲージを作った
・できたパタンランゲージをどう説明したか
 →ストーリーを作りそれを読み上げた

◇まずストーリーを作った
・まず、聞き取りから
 →「自分の町にはぜんぜん良いところがない」
 →「昔はダンスホールがあった」
 →「一番良いのは海かなー」
 →「入り口はないでしょう?」
 →「いろいろなところにあるよ」
 →知っているのは町の人だけだった
・町の人にとって大事なことはすぐには言葉に上がってこない
 →誇るべきものがないと思っているから
 →→それだとわからない
 →最初は苦労する
 →少しずつ話していくと何が大事かを振り返るようになり出てくる
・一番良いものは海だった
 →「海を中心にして温泉があり、海を中心にして歩行路があり、海を中心にしてレストランがあり、海を中心にして車が来るようにすればよいですね?それでいいんですね?」
 →「そうです。これなら、自分達の言いたいことを全部言えている」
・それを元にストーリーに作った
 →まずはパタン
 →ガーデンレストランや温泉など、それぞれに独立した言葉がついている
 →それらを裏通り、歩行路、松林といったもので繋げる。
・別々のエピソードが組み合わさって1つのストーリーになっている。
 →いろいろなエピソードが入っているけどそれが一貫して流れることで理解してもらえる
・作ったストーリーをどうしたか
 →このエピソードに基づいて絵を描いた
 →これを元に実際に町を作った

◇この事例のまとめ
・コミュニティビジネスとしてパタン・ランゲージを作った
 →みんながやる気を出せることを計画
 →→それをパタンにした
・みんなのやりたいことを引き出すのがパタン
 →それぞれからエピソードを聞いた
 →それをまとめて1つのストーリーを作った
・みんなは1つ1つのエピソードをやりたい
 →でもそれ単体だけはストーリーになってない
 →物語を作る(実施する)人達がいないといけない
 →パタンからストーリーを作ることができる専門家が必要
・町の物語は町の人達で作る必要がある
 →自分達が作ったものだから納得できる
・パタン・ランゲージはその地域の人達が語る言葉で
 →その地域の特殊な条件の中で育てないといけない
・エピソードの一個一個がプロジェクト・ランゲージになる
 →1つ1つのエピソードが面白くて1つのストーリーになる
・パタンによる本質的なエピソード
 →みんなのこだわりがあってエピソードが出来る
 →良い脚本が描けるか、説得力があるか
 →1人1人のこだわりがあって、それによって1つのストーリーができあがる
・エピソードを繋げる(パタン・ランゲージを作る)作業はとても難しい







中埜博様、アマルフィアカデミー様、ありがとうございました。

2013年2月26日火曜日

【チラシの裏】「ブログに書くまでが勉強会です」

勉強会のノートをブログにまとめるようになって今日でちょうど1年になる。出来上がったノートを見返してみると、自分の手元になかなかの資産ができあがっているということに気が付く。

「勉強会に参加することでもらった充実感も、しばらくすると何も残らなくなってしまうので悲しい。だからなんとかして形にし、その時々の気付きや学びをなんとか残しておきたい」というのがノートをまとめるきっかけだったのだが、このような形で手元に溜まっていくとは思ってもみなかった。

一時期はプライベートな時間の大半を勉強会に使っていた。"アジャイル"と書いてあるだけで参加申し込みしてみたり、イベントサイトを見つければ上から下までイベントの情報を調べてみたり、twitterのタイムラインにひたすら貼り付いて勉強会情報を探してみたり…

月の半分を勉強会で埋めたときもあった。翌月のカレンダーを見ると5個くらいしか勉強会が入ってなくて「こんなに余裕があるなんて… もうブームは過ぎ去ってしまっていて、だからあまり勉強会が開催されないのだろうか」と不安になってみたりすることもあった。もちろんそんなことはなくて、そういう月でも最終的には10個以上参加することになるというのが常だった。

好奇心だけで聞きにいって、現場で使う機会なんかない勉強会のノートもあった。そういったノートも、いま読み返すときちんと学びに繋がっているので驚く。勉強会で学んだことが見事なまでに自分の中に内面化されていたり、あるいは、今まさに抱えている問題意識に関して、昨年学んだことを現在進行形で取り入れることができたり… 半年前はポカンとして聞いていたような話を、まるで当事者であるかのような目線から受け止めるようなこともあったりして、「まあ、1年というのはそれなりの時間なんだなー」と思ったりもする。

このブログはあくまでノートなので、勉強会の講演内容を一言一句書き写したりとか、そういうきっちりしたものにする意識はあまりない(なるべく講演者の意図は正確に書き留めたいというのはある)。自分がしっくり来る形になるまで構成を検討してみたり、話の順序がしっくりこなければ文意が壊れない範囲で切り出し方を考えてみたり… 公開こそすれど、結局のところは、勉強会での学びを自分が一番理解できるようにまとめなおしているだけにすぎない。

そして、今振り返ると、この取り組みは自分にとってとても大きいことであったような気がする。そうやってノートを何回も見直したり、発言の意図をひたすら考えたり、裏を取るためにウェブを調べまわったり… そういう作業を積み重ねることで、ただ参加していたときよりずっと深い気付きと学びを得ることができているように思える。

一時期、勉強会に参加することが当然のようになってしまい「とりあえず申し込んでは見たものの、参加する意義が自分でもよくわからない」という状態になってしまったこともあったが… 気の向くままに参加してみてよかったと、ノートを振り返りながら思った。





勉強会を主催するみなさま、1年間ありがとうございました。

今後とも宜しくお願い致します。

2013年2月17日日曜日

『InfoTalk#51 なぜそれを好きになるか?選考と無意識の実験心理学』ノート


2012/02/15に開催された「InfoTalk#51 なぜそれを好きになるか?選考と無意識の実験心理学」のノートです。ノートPCを持っていなかったので、手書きクオリティのノートになります。



◆選好と無意識

◇人間が意識しているのは氷山の一角
・我々の日常の行動の大半は無意識(automatic)に行われている

◇我々はなぜそれを「好き」だと思うのか
・よくわかっていない

◇オレゴン大学のゴミ袋男
・月水金の11時、クラスの後ろの席でゴミ袋を被った生徒が授業に参加していた
互いに知らない同士の関係の中にこんな人が混ざる
・彼に対して周囲はどう変わっていったか?
 →敵意から始まる
 →→それが好奇心に変わり
 →→→友情が芽生えた
・ゴミ袋男に関する周囲の変化の過程で、何が起こっていたのか?


◆Robert Zajonc. (1968). "Attitudinal effects of mere exposure"

◇単に見るだけで好きな気持ちが芽生えることがあるのでは?

◇実験方法
・漢字を知らないアメリカ人が被験者
 1. 漢字や顔の画像をそれぞれ0 - 25回、2秒間スクリーンに表示する
 2. これを見てもらった後、その漢字がどのくらい良い意味を持つかを推測してもらう
・ポイント
 →アメリカ人は漢字の意味なんか分からないので、提示回数に対しての反応を見ることが出来る

◇実験結果
・提示回数が多い = 評定値が高かった
・わけ分からなくてもたくさん見てると良い評価してもいいかな…となる
 →単純接触効果
・単純接触効果は至る所で応用されている
 →せんとくんもそう
 →→発表当初は地元でも大不評だった
 →→→批判があってもありとあらゆる場所に露出させ、最終的には人気者に



◆matthes. (2007). "more than meets the eye"

◇広告と単純接触効果に関する実験

◇実験方法
 1. 普通の写真の中にブランド名を埋め込む
 2. 被験者にはそのことを伝えずに写真を見てもらう
 3. 「さて、ところで…」ということでブランド名を評価してもらう
・ポイント
 →ブランド名への好感度の変化を見ることができる

◇実験結果
 →mere exposure効果が現れたものとそうでないものがあった
 →→この違いは被験者の特徴で分かれている
・ブランド名が埋め込まれていることに気がついた人達
 →見れば見るほど好感度が下がる
・ブランド名が埋め込まれていることに気がつかない人達
 →見れば見るほど好感度が上がる



◆Kunst-Wilson, Zajonc. (1980). "Affective discrimination of stimuli that cannot be recognized"

◇Zajoncによるさらに衝撃的な研究結果
 ・閾下単純接触効果(Subliminal mere exposure effect)
 →閾下で見たほうが効果が高いのでは?
 ・閾下提示
 →意識に上らないように感覚刺激を提示すること

◇実験方法
・ターゲットとなる画像の露出時間を調整する
 →「今映ったのはABどちらの画像?」という質問の回答比が1:1になるところまで
 1. ターゲット画像をほんの少し見せる
 2. すぐにマスクとなる砂嵐みたいな画像で被せる
・ポイント
 →見えないけど脳には到達しているという状態を作り出している

◇実験結果
 →見えたという認識がない( = 閾下の)状態でも効果があった



◆Ohman & Soares. (1994). "On the automatic nature of phobic fear: Conditioned electrodermal responses to masked fear-relevant stimuli."

◇何を見ているのか分からなくても精神性発汗はある?

◇実験方法
・ヘビ恐怖症やクモ恐怖症の人にヘビやクモの画像を見せると精神性発汗が出る
 →自律神経(交感神経)が反応して発汗する
 →→その人の情動が動いているということ
 1. では、サブリミナル効果によりヘビやクモの画像を見せたらどうなる?

◇実験結果
 →見えてなくても、恐怖症の人特有の精神性発汗が出る
・見えたという認識がなくても自律神経は反応するということ
 →見えるという意識がなくても脳には届いている
 →→そして反応が起こる



◆Shih. (2002). "Stereotype Susceptibility: Identity Salience and Shifts in Quantitative Performance", JPSP

◇サブリミナルによるステレオタイプの活性化 

◇実験方法
・アジア系アメリカ人大学生が被験者
 1. ステレオタイプを活性化する単語をサブリミナル提示
 →Tokyo, Kimono, Chinatownとか
 2. その後に数学のテストを受けてもらう
・ポイント
 →アメリカには「アジア人は数学が得意」というステレオタイプがある

◇実験結果
 →ステレオタイプ語を見せた人の方が数学の成績がよかった
 →→また、ステレオタイプを活性化させたことに気付かかないほうが効果が高かった

◇同じ人の更なる実験
・被験者はアジア系女性
 1. あるグループにはアジア人に関するステレオタイプ語を閾下で提示する
 2. 別のグループには女性に関するステレオタイプ語を閾下で提示する
 3. それぞれテストを行う

◇実験結果
 →アジア人に関するステレオタイプ語を提示されたグループ
 →→数学のテストの点数が上がる
 →→→ただし、他のテストの点数は変わらない
 →女性に関するステレオタイプ語を提示されたグループ
 →→数学のテストの点数が下がる



◆ここで質問が2つ

◇なぜ単純接触しただけで好ましく思うのか?

◇なぜ閾上で接触するより閾下の方が効果があるのか?



◆なぜ単純接触しただけで好ましく思うのか?

◇Bornstein & D'Agostino. (1992). "The Role of Affect in the Mere Exposure Effect"
・認知的流暢性の誤帰属仮説
 →何回も見聞きすると、その対象への認知的処理が(意識下で)流暢になる
 →→処理の流暢性は「好ましい」という(意識上の)感情に誤帰属する
・何かを好きだろうと感じる細胞があるのではないということ?
 →活性化したものに好きだというレッテルを貼っているだけ?

◇AL Alter. (2006). "Predicting short-term stock fluctuations by using processing fluency", PNAS
・ごく短期の株価は認知的流暢性の誤帰属で予測できるという話
 →ティッカーシンボルの発音しやすさと株価の連動に関係がある?という仮説
 →→発音しやすい = 認知的流暢性が高いということ
・IPOなど株価情報がまだ存在しないものについて調査
 →発音しやすい方に投資した方がリターンが多かった
 →→ただし、それは最初だけ
 →→→その銘柄について業績などの情報が出てくると関係がなくなっていく

◇ある対象が認知的に流暢だと…
・以下のようになるという実験結果もある
 →好きになる
 →有名と思える
 →真実と思える
 →知性的と思える
 →よく起こると思える
 →将来に渡って安定していると思える

◇Oppenheimer. (2008). "The secret life of fluency", TICS
・認知的流暢性の誤帰属とは、私達の認識に生じる錯覚の主要因の1つなのではないか

◇Langlois & Roggman. (1990). "Attractive faces are only average"
・普通の人を20人足すとかっこよく(Positiveに)見える顔になる
 →平均的なプロトタイプは処理しやすい
 →→処理しやすいだけ反応が早い
 →→→認知的流暢性が高いということ
 →→→→より好ましくなる

◇実際にはもちろんこれだけではない
→そこに新しさなどが必要になる



◆なぜ閾上で接触するより閾下の方が効果があるのか?

◇感情を司る経路には2種類ある
・閾上のプロセス : High Road
 →扁桃体→視床→感覚皮質→偏等体→身体反応
 →→感情を司るプロセスまで到達してそこから反応が出てくる
・閾下のプロセス : Low Road
 →扁桃体→視床→偏等体→身体反応
 →→『見た』という意識にまでいかないでも反応が出てくる
・意識が出てこない = 余計な考えが出てこない状態
 →単に純粋な感情だけで動く
 →→「欲しいと思うのは、前に見たからだなぁ… 止めておこうか」みたいな反応にならない

◇認知的流暢性は意識しなくても身体にも現れる
・流暢な場合
 →緊張がない
 →→瞳孔が閉じる
・流暢でない場合
 →緊張する
 →→瞳孔が開く

◇好き嫌いの指標と瞳孔を組み合わせるとどうなるか
・好きだという顔に対しては
 →緊張がない
 →→瞳孔が閉じる
・怒っているという顔に対しては
 →緊張が発生
 →→瞳孔が開く



◆まとめ

◇選好判断における閾下過程の重要性
・閾下の刺激が行動や生体反応を変える
 →好き嫌いに対してサブリミナルが与える影響は大きい

◇帰属という仕組みの重要性
・好ましさを判断する中枢があるわけではないのではないか
 →認知的流暢性や生体(情動)反応が、(あるコンテキストの中で)好ましさという判断に帰属されるということ






竹内 龍人様, KOYAMA Hiroshi (pk0612)様、ありがとうございました。

2013年2月10日日曜日

【読書】Ed Emberley's Drawing Book MAKE A WORLD


ノートを書くのであれば、情報や知見がまとまったものにするのはもちろんですが、そのとき思ったこととか考えていることを手繰り寄せるための手がかりのようなものになっていてくれるといいと思います(そのためにはあと後で見返したくなるくらいには面白みがないといけない)。

であれば、思い出すための手がかりになるものはできるだけ多く書いてある方がよいです。そして手がかりはあくまで思い出すためのとっかかりなので、それが理路整然としている必要はありません。それよりは、その時の感覚とか雰囲気を閉じ込めておけるようなものであって欲しいのです。

そのためには有効なのが絵です。文字は言葉を正確に写し取るための確実で間違いのないやり方なのだけど、そこに織り込める表現には限りがあります。色使いや筆致でバリエーションを作るのには限界があるし… それでも文字で表現しつくそうとするのであれば、これでもかと言うくらいの文字を使ってその輪郭を延々と描き出していかないといけません(この文章みたいに)。

絵そのものは難しい必要はなくて、それよりもノートに込めようとしているニュアンスや雰囲気をいかに的確に表せているかが重要です。ノートに書く絵は、簡単でさっと書けるようなもので、文字や記号に見劣りしないくらい単純、かつ彼らに自然に溶け込んでしまえるようなものになります。

しかしなかなかそういう絵を描くのは難しいです。私に絵心がないのを差し引いても、です …という問題意識を漠然と持ちつつ、amazonをうろうろしているときに見つけたのがこの本になります。


Ed Emberley's Drawing Book: Make a World

絵の描き方のための本。




簡単な図形の組み合わせでたくさんの絵を作り出すための本。絵といっても今風のそれの書き方ではなく、もっと象徴的なもの。

こんな感じ。



丸とか四角とか簡単な曲線の組み合わせでこれだけの表現ができるという。



人もたくさん書き分けられます。




洋書なのですが、見てのとおりの本なので英語力は全く問題になりません… ということで、上手くならなくていいから、それより絵のバリエーションが欲しいという私にはなかなか良い本でした。

P.S. 購入後に気がついたのですが、これは子どもに絵の描き方を教えるための本のようです…

2013年1月20日日曜日

Scrum Alliance Reional Gathering Tokyo 2013『野中郁次郎氏 : 特別講演 知識創造企業』ノート(後半)

2012/01/16に開催されたScrum Alliance Reional Gathering Tokyo 2013『野中郁次郎氏 : 特別講演 知識創造企業』のノートです。こちらは後半部分です。



(前半の続き)

■野中氏の講演

◆実践知・ジャッジメント・コンテキスト

◇全てを総合するリーダーシップ = フロネティックリーダーシップ
・フロネシスの語源
 →ギリシャ語
・実践知
 →賢慮(Prudence)と実践的な知恵(Practical Wisdom)を併せたもの
 →文脈で使い分けられる
・ハーバードビジネスレビューにこれに関する論文を書いたとき、日本の経営者を中心に調査した
 →こういうのもは日本が得意だと思う
 →→日本の組織には、一丸となって知を生み出していくというDNAがあるのではないかと思っている

◇知の生態系は不確実
・そんな中でのイノベーションには実践知のリーダーシップが必要
・ワイズリーダー
 →さまざまな円環の中で持続的に知を作り続けるリーダーシップ
 →文脈を読みながら絶えずSECIプロセスを回し、触発・支援・蓄積ができるリーダーシップ
・個別を離れた普遍の知はなかなか存在しない
 →観念論としてはあるかもしれないが、実践論としては?
 →「何が本当か?」はその都度のコンテキストの真っ只中で判断できないといけない
 →→身体性を伴うということはそういう意味で重要
・個別具体の文脈で"Just Right"な判断をしていかないといけない
 →単なる改善ではない
 →大きなビジョンやイデアが関わってくる
 →→そういう志を持ちつつ、現実の中でのジャッジをする必要がある
・最初から演繹的な絶対的な真理からブレイクダウンしていくのではない
 →これはウォーターフォール的かもしれない

◇実践知の考え
・どういうものか
 →『イデア(顧客の思い)がある』けど…
 →『それがあると信じる』けど…
 →現実の中で一緒になって、皆の英知を結集してベターに向かってやっていく
・行為の真っ只中で考える
 →動きながら考える
 →そして文脈に即したジャッジをする
・DecisionではなくJudgement
 →マネジメントの領域ではDecisionだと言われてきた
 →→これはコンピュータでもできるもの
 →Judgementは背後にあるコンテキスト(関係性)の読み
 →→全ては読みきれない
・なぜ読みきれないのか
 →その都度の動きの中での関係性が、背後にあるから
 →→お互いのインタラクションを通じて、Assumptionを豊かにしながら明らかにしていく必要がある
・Contextual JudgementとTimely Balancing
 →事象の背後にある関係性は見えない
 →→だから、現実の只中でコンテキストに応じたジャッジメントをすることが重要
 →→それを適時・絶妙なバランスでやらないといけない



◆フロネティック・リーダーシップの6つの能力

◇フロネティック・リーダーシップについて
・何が必要か
 1. 何が"Good"なのかを作る能力
 →→スパイラルをどこでやめるかとか
 →→志の大きさに依存する
 2. 場をタイムリーに作る能力
 3. 現実を直視、直感する能力
 4. 直感の本質を概念・言語化する能力
 5. スパイラルして"やりぬく政治力"
 →→イノベーションはおそらく政治プロセス
 →→現実の只中でしかるべきタイミングでジャッジする能力
 →アリストテレスのいう中庸
 →→グレーなものをコンテキストを読みながら判断する能力
 6. 実践知を組織化する能力
 →→実践知を組織に埋め込む力
 →→全員がリーダーになるまでリーダーシップを高める力

◇(アジャイルを含めた)プロジェクトで重要なこと
・何が重要か
 →人が育つこと
 →リーダーがたくさん育つこと
 →→自立分散型のリーダーシップ(Distributed Leadership)

◇1. 何が"Good"なのかを作る能力
・「何が善いか」についてはいろいろ議論がある
・アリストテレス
 →「本質的に人はいいことをしたい」
 →「世の中の価値には、絶対に手段にならない、それ自体を追求する価値があるものがある」
 →幸福とか自己実現
・確実に唯一最善のものに到達できるという方法はない
・マッキンタイア
 →「絶えずエクセレンスを追求する、そのプロセス自身が"Good"」
 →職人の道
 →→ベターに向かって無限にイデアを追求するという姿勢
・人は理想を追求する
 →達成できないかもしれないけど、達成しようとする
 →→だから人間は限界を超えて知を作る
・スティーブ・ジョブズ
 →「我々の心を高鳴らせるものはリベラルアーツと結びついたテクノロジーであり、人間愛と結びついたテクノロジー」
・本田宗一郎
 →「どの国境、どの人種の上を越えても、いつだれがどこで考えてもそうなくちゃならん、ということが世界的視野」
 →「国境を越えて、人類として、人間である限りは、必ず納得できるような、理論の持ち主になってもらいたい」
・ホンダの本田宗一郎、Panasonicの松下幸之助、シャープの早川徳次
 →創業者はみな技術者

◇2. 場をタイムリーに作る能力
・文脈に応じてバランスをとる・共有する
・いかにバランスを取るかがリーダーの仕事

◇3. 現実を直視、直感する能力
・日々変化する現実を全身で理解する能力
・全ての五感を総合して、相手の視点に合わせる
 →その上で共感する
 →そして、彼の視点から次の仮説を立てる
・全ての五感を総合する
 →そうやって瞬時の想像力や判断力を高める
 →そうすることで研ぎ澄まされた共通感覚を得ることができる

◇4. 直感の本質を概念・言語化する能力
・それを大きな物語にして共有することが重要
 →大局観が必要
 →→Historicalな歴史観が重要になる
・物語はチームを元気付ける
 →会話をしながらコンセプトやストーリーを作っていく

◇5. スパイラルして"やりぬく政治力"
・周囲を説得して価値創造にまい進する
 →説得できる演説力が大切になってくる
 →→「一般通念を打破する新しいビジョンはレトリックに頼らざるを得ない」
・スティーブ・ジョブズの現実歪曲空間

◇6. 実践知を組織化する能力
・個人の全人格に埋め込まれているフロネシスを組織に埋め込む
 →実践の中で自律分散的な体系化・伝承・育成を行う
・そうすれば何が起こっても弾力的に対応できるしなやかな組織ができる
 →そのためには評価システムが適応している必要がある
 →あるいは徒弟制度
・意図的に大きな挑戦を与えて飛躍的成長をしてもらう
 →絶えずフィードバックを得るようにする
 →複数のメンターを付ける
 →→そうやって仕事の型を共有させる
・ホンダの考え方
 →「全員が本田宗一郎になろう」

◇シュンペーターが指摘していた問題から考えてみる
→「組織は個を殺すから崩壊するしかない」
・そうではない組織のあり方があるのでは?
 →個をクリエイティビティする組織
 →組織の知をもっと大きくするような組織
 →→そのためのやり方があるのではないか?
・そのために必要なリーダーシップが1から5
・組織知にするためには6がなければならない



◆組織・フラクタル・ミドルアップダウン

◇最近の組織構造はマトリックス型が多い

・部分最適で終わるのではないか?という話がある
◇そうではない組織構造のケース
・ダイハツのケース
 →新製品開発に辺り全員転籍
 →→帰る場所はどこにもない
 →人事権はPLである部長が持つ
 →→結果として人が育った
 →→→これを受けて組織全体の再編へ
・JALのケース
 →アメーバ経営
 →→時間辺り付加価値を全面的に導入
 →→→組織の末端が社長と同じことを考える
 →予算の執行権を経営企画から経営管理部へ
 →フラクタルな組織経営になっている
・アメリカ海兵隊のケース
 →フラクタルな組織
 →→パイロットは地上部隊のリーダーを1年経験していないといけない
 →→全員でライフルマンをバックアップする
 →仲間(個)のために戦う
 →→お互いの信頼関係が非常に重要
 →→→数人で一個小隊を撃破することもある

◇自立分散型実践知経営
・フラクタルな組織は絶えず環境と共振する
 →組織が1つの個であるかのように振舞う
・クロネコヤマト
 →社長曰く「うちの社長はセールスドライバーだ」
 →→彼らが知の最前線にいて、即座に対応できる
・マージナルマン
 →境界にいて絶えずコネクトしている人が重要

◇フラクタルな組織ではミドルアップダウンが重要になる
・トップダウンやボトムアップではない
 →ミドルが非常に重要な役割を果たすようになる
・Cisco
 →"Lead from the middle."
 →社内SNSで知をアドバタイズしながら、知を絶えずリンクさせている
 →→Distributed Leadership
・明治維新もミドルアップダウンの方式になっている

◇アジャイルやスクラムもこのコンテキストで見るとどうなるか
・組織的なイノベーションやDistributed Leadershipを作ることができる、1つのプロセス

◇コミュニティと知の関係
・コミュニティが内に向かうと知は枯渇する



◆最後に

◇実践知は非常にリスキー
・でもベターを追求するためには必要
 →だからCourageが大事
・ロロ・メイ
 →「Courageはすべての徳の源泉である」
・本田宗一郎
 →「試す人になろう」

◇賢慮と実践知のリーダー : 知的体育会系
・ベターを無限に追求する人
 →現実の中で実践的推論を重ねて真理に近づいていく






野中郁次郎様、平鍋健児様、Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013 実行委員会様、翔泳社様、ありがとうございました。

Scrum Alliance Reional Gathering Tokyo 2013『野中郁次郎氏 : 特別講演 知識創造企業』ノート(前半)

2012/01/16に開催されたScrum Alliance Reional Gathering Tokyo 2013『野中郁次郎氏 : 特別講演 知識創造企業』のノートです。いつもとは違う刺激や気付きがあって良かったです。こちらは前半部分になります。



■平鍋健児氏によるイントロダクション

◆野中氏の紹介

◇野中氏はスクラムと言う言葉を最初に作った人
・でもソフトウェア業界でスクラムと言う言葉がここまで使われていることは知らなかった
 →一昨年開催されたイノベーションスプリントで知った
・世界で最も影響力のあるビジネス思想家の1人
 →日本からオリジナリティのあるアイデアを発信している
 →本を英語でも書いている

◇ソフトウェアの大切なところ
・技術
 →これはもちろん大事
・人と人とのコミュニケーションのデザイン
 →マネジメントも含めて、これが大事

◇アジャイルが気付いたこと
・「どう"コミュニケート"したら、良いソフトができるのか」
 →アジャイル = ソーシャルなコミュニケーションパターンデザインの方法
 →→そこで使われているコミュニケーションデザインの方法について、始めて言及したのが野中氏



■野中氏の講演

◆はじめに

◇知識創造理論はアジャイルと関係なくやってきた
・イノベーションスプリントの基調講演の依頼を受けて、初めてつながりを知った
 →自分はそもそもコンピュータを使えない
・「アジャイルはソフトウェアの開発の話に留まらない」という話
 →聞いて納得するところがある
・アジャイルは組織変革のプロセスそのものにまで展開されつつある
 →アジャイルとスクラムというのは物凄く大きな話になっていくのではないかと思っている

◇マネジメントにはいろいろな切り口がある
・我々は知識ベースのストラテジックなマネジメント
 →今は戦略によっている
・戦略と組織は分離できない
 →戦略は人間が解釈して作り出すもの
 →戦術を実行するのは組織
 →→人間の解釈や実践・組織作りがないと戦略は成立しない
・戦略と組織を分けるという考えが、欧米では伝統的に強い
 →でも、いくらビューティフルな戦略を考えても実行できなければ仕方がない
 →→戦略と組織をダイナミックに統合するのがストラテジックなマネジメント

◇知識ベースのストラテジックなマネジメント
・これの大まかな枠組み = 絶えずイノベーションを生み出すようなコミュニティ
 →そこには大きな枠組みや大きな志がある
 →→"共通善"があるということ
・大きな枠組みを代表するのが企業ビジョン
 →それを具体的に組織全体に落とし込んだのがビジネスモデル
・いかにユニークな価値を顧客に創造するか?(価値命題)
 →これは非常に難しい

◇SECIプロセス
・「顧客にいかにユニークな価値を提供するかという命題」にどう応えるか
 →そのための知識を作り続けるのがSECIプロセス
・SECIプロセスとそれを支援するプラットホーム(場)の関係
 →顧客や自社の能力があって、知を利益に変化できる
 →→ここにコスト構造など勘案してビジネスの流れを作る
・これら全てをまとめるのがリーダーシップ(フロネシス)



◆経済モデル・完全情報・知識創造理論

◇20世紀は資本主義の時代
・アダムスミスの『神の見えざる手』
 →企業も個人も自分の利益を追求すればよい
 →→そうすると神の見えざる手が市場を媒介してバランスがとってくれる
 →個人利益の追求が社会の幸福につながるという考え
・その後の経済学を科学的にしたいという流れ
 →このなかで科学的・論理的なモデルが出来ていった
 →『神の見えざる手』を理論的に分析した
・完全情報という仮説の登場
 →互いが完全情報を持っていると仮定する
 →→そうすると、個々のプレーヤーの利益追求によって、論理的・数学的に市場がバランスする

◇「でも… 資本主義が社会の幸福につながるのか?」というのが今の時代
・カール・マルクス
 →このことを最初にいった人
 →「資本主義は資本の蓄積、さらなるお金を求めて永久運動するプロセス」
 →「これは格差をもたらすし、資本家と労働者の搾取モデルになる」
 →「だから階級をなくす革命が必要となる」
・ドラッカー
 →「21世紀は知識創造・ナレッジソサエティの時代」
 →知識というわけの分からないものを経済に落とし込むことが必要
・シュンペーター
 →イノベーションについて初めて言及した
 →「新古典派の考えるような均衡はない」
 →→「均衡ではなく、絶えざる均衡破壊がある。それがイノベーション」
 →→→イノベーションで資本主義を延命させるという考え方
 →マルクスとは対極にいる
・ハイエク
 →「マーケットは単なる競争の場ではない」
 →「顧客のニーズというのは定式化されていない」
 →→「完全情報なんていうものはそもそもない」
 →→→「いかにそういうものを発掘して形式的な知識につなげていくか」
 →→→→「マーケットはそういうものを発見する場」

◇完全情報になっていない部分とは何か
・我々の言葉なら暗黙知
 →『氷山のモデル』
 →→形式知は海に浮かぶわずかな部分
 →→水面下には膨大な暗黙知があり、それが知の源泉になっている
 →マーケットは知の創造の場

◇再びシュンペーター
・彼はある種のペシミズムを持っていた
 →「様々な知を組み合わせ均衡破壊をするのはは企業家・個人と銀行」
・これは組織化の時代になるとサイロ化していく
 →→そうやってできる官僚機構は創造的な個を殺していく
・「企業家が持っている、天職としての倫理を持つ資本主義」
 →ウェーバーが言っていたこと
 →これが金儲けに走るうちに失われてしまう
・それから民主主義にあるポピュリズム
 →ここから来る、ある種の平等感が企業家精神を劣化させてしまう
・そして資本主義は自ら崩壊して社会主義にいくという悲観
 →これがシュンペーターのペシミズム

◇知識創造理論の源泉
・我々が知識創造理論を思いついたのは…
 →組織はクリエイティブでありうると考えたから
 →組織は個の力を増幅させることができると考えたから
 →イノベーションが持続する組織がありうると考えたから
 →→そういう組織をどうやって作るか?という話
 →その1つとしてアジャイル・スクラムも大きな話につながっていくと思う

◇知識という、よくわからない財をどう概念化するか
・知の源泉は自分の主観
 →知は最初からあるものではない
 →知は客観的に与えられるものでも、簡単に組み合わせられるものでもない
・知は情報
 →自分の主観を真理に向かって社会的に正当化していくダイナミックなプロセス
 →→イノベーションは知識創造プロセスであるということ
・知は主観
 →知は人間が介在し解釈するからでてくるもの
・そのための知識創造プロセス = SECIモデル

◇知識創造理論の背後にある考え方
・理想主義のプラトン
 →演繹の父
 →→「真・善・美は天上にある」
 →→「イデアこそ真理」
 →→体は五感の塊だからそれを抜いて考え神に近づく
・実践主義のアリストテレス
 →帰納の父
 →→「イデアは地上にある」
 →→「実践が大事」
 →→BODYが大切
・イデアには簡単に到達できない
 →実践の中で考える必要がある
 →→SCRUMに似ている?
・プラトン以来の知の伝統が、西欧にはある
 →身体を否定して純化するというアイデアが強い
・知識想像の考えが影響力が持つのは何故か
 →そうではない考えが前提にあるから
 →→「身体の知がその前にあって、それが源泉なのではないか」



◆暗黙知・型式知・SECIプロセス・場

◇今まで強かった考え方
・主観的にものをいかに客観的に修正するか
 →客観的・科学的で形式的なものが知識
 →マネジメントもサイエンス
 →→それもいいけど…

◇マイケル・ポラニー
・「われわれは語れる以上のことを知りうる」
・「すべての知識は暗黙的、あるいは暗黙知に根ざす」
 →暗黙知の根底にはBelief(信念)がある
・知るということには個人がコミットしないといけない
 →全身全霊でコミットして、そこから生み出されるのが知
 →→だから信念と暗黙知、信念と理性の関係が必要
・アートとサイエンスがたえずダイナミックにバランスを取っていく中から知が生まれる

◇SECIモデルではどうなのか
・暗黙知と型式知がある
 →どちらが先かという話がある
 →→我々は初めに経験ありきではないかと考える
 →言葉は後
・暗黙知と型式知はおたまじゃくしのように円環する
 →相互に円環しながら膨らんでいくと言うイメージ
・トヨタの偉い人
 →「経験・知覚というのは、五感を想像すれば言語よりはるかに豊かなもの」
 →「でも言語も五感を豊かにする」
 →「両方が弁証する相補的な関係にある」
 →→「One wayではない」

◇暗黙知には瞬時に想像する要素がある
・でもそれは言語化できないといけない
 →言語化を積み重ねていくと言葉が豊かになっていく
・ワインの話
 →ソムリエの田崎氏が、暗黙知と形式知のスパイラルと同じようなことを言っている
 →「暗黙知を豊かにするには、いいワインを飲まないと駄目」
 →「そのとき感じたことをきちんと言語化しないと駄目」
 →「顧客とは一期一会なので、あった瞬間に現在・過去・未来を瞬時に想像できないと駄目」
 →→暗黙知があると予見能力が高まる
・でも暗黙知がたくさんあるだけでは駄目
 →それは言葉で語らなくてはいけない
 →→言語化を積み重ねることで、本質的な言語化(メタファーやレトリックを使った感覚的で詩的な言語)に至る
 →言葉にすることでスパイラルアップできる

◇SECIモデルでは
・共感→概念化→モデル化→実践のフェーズを経る
 →チームの知が組織の知へ
 →それが個に返りつき、さらに大きな知へ
・スパイラルにすることでもっと大きな知を想像できる
 →知を組織的に作るモデル

◇イノベーションはSECIスパイラルである
・共同化→表出化→連結化→内面化
・『相手の視点に立ったときの気付き』がないと本質には辿りつかない
 →本質は見えないので対話を通じて徹底的に考えないといけない
・それをコンセプトに凝縮して、関係付けして、量モデル化して、徹底的に分析する
 →そして技術・経験・サービスなどに価値化
 →→知を血肉化(内面化)して暗黙知化するということ
 →これは(結果として)組織や市場の新たな知を提供することになる
 →→これが新たな知を触発する
 →→→この新たな知をまた共同化する
・この反応を絶えず生み出す

◇この反応が生み出される状態をどうやって目指すか
・個人を殺さず、個人を活かし、個人ではできない知を創造する状態
 →こういったものをきちんと量モデル化しないといけない
 →→そのためには場(プラットホーム)が必要
・どういう場である必要があるか
 →コンテキストがあるもの
 →スパイラルアップするようなもの
・場の文脈は常に動いている
 →動いている文脈を共有できるのがダイナミックな場
 →そういう場で、皆の主観(Belief)を出す
・場を『皆の主観の場』にする
 →思いは言葉、言葉は形にしないと共有できない
・全人的に向き合うことで自己を超える我々の主観を生み出す
 →そのためにコンテキストがとても重要だということ

◇言葉の意味は、インタラクションの中でしか分からない
・「けっこうです」
 →"いる"ということ?
 →"いらない"ということ?
・言語学の関連性理論でのコンテキストの定義
 →「お互いの発話の解釈の手助けになる、聞き手の頭の中にあるAssumptionsのこと」
・アジャイルやスクラムもそう
 →顧客とのインタラクションの中でどう解釈するか
 →→ここでAssumptionが出てくる
 →→それを対話の中で共有しながら新しいAssumptionを作り出していく
・場 = 動いているコンテキストを共有するところ
 →そして知を生み出せるところ



◆身体・体験・ビジネスモデル

◇もう1つの重要なこと
・合意形成について
 →皆の主観(相互主観性)を作り上げるプロセス
 →→この中でベースになるのは身体

◇身体のタッチ(メルロ・ポンティ)
・身体感覚は相互に浸透する : 間身体性
 →右手で左手に触る
 →→しばらくすると左手からも右手を触っていることを感じる
・Embodied Mind(フランシスコ・ヴァレラ)
 →ボディとマインドは分けられない
・ミラーニューロンの発見
 →他人のしていることを自分がしていることのように感じる細胞
 →→模倣すると相手の意図が読める

◇共感の土台が重要だということ
・我々は生まれつき共感を覚えるように出来ている
 →マズローの自己実現理論の上には、コミュニティを作るというニーズがあるということ
・場の根底にあるもの
 →タッチも含めた身体的・精神的な触れ合い
 →→Socializationにおける重要な概念
・マーク・ザッカーバーグの提唱するエコシステム
 →「2人の人間のインタラクションの場(社会の基盤)を作る」
 →「それを繋げてもっと大きな場を作る」
 →「究極的には大きなイノベーションを作る」
 →「最終的に大きなHapinessにしていく」
 →「単なるマーケットを越えてコミュニケーションする関係を作る」
・でも組織が直接インタラクションすることはできない
 →実際にやるのは個人
 →→場を作ることとそれをスピーディにやることが重要

◇なんのために知を想像するのか
・最終的には"Common Good"
・もっと具体的には価値命題とビジネスモデル
 →いかにユニークな価値を創造するか
・ビジネスモデル = 知を価値・利益に変換すること
・ 「コトづくりのためのモノづくり」
 →ユニークなコトを提供するためにはユニークなモノが必要
・コトから入っていった方が大きな経験価値を与えるモノを作れる
 →音楽配信という経験価値を与えるためにモノを作る
 →→モノは体験を提供するためのもの
・「iPodというモノはマルチメディアの視聴という体験(コト)を与えるためのものである」
 →ここまでコンセプトをクリアにする
 →→これがわかれば、誰が顧客でどんなユニークな価値を提供するべきかが分かる

◇顧客にユニークな価値を提供するためには
・流通の最先端、顧客の最前線まで行ってきちんと意味を伝えないといけない
 →絶えず価値命題は変化している
 →→最先端で顧客から学び、それをフィードバックサイクルの中に入れる

◇ビジネスモデルについて
・知識ベースでの基本的な考え方
 1. いかなるコトを与えるのか
 2. 顧客は誰か
 3. 能力(能力・知力)はあるか
 →→(どこをクローズドに、どこをオープンにするか)
 4. コスト構造
 5. それで利益を考える
・(ポーターの)伝統的な戦略論での考え方
 →極力競争しない
 →差別化して参入障壁を高める
 →価格決定権を渡さない
 →→サプライヤのパワーを高め、顧客のそれを低める
・伝統的な戦略論の目的
 →既存の市場をいかに守るか
 →競争の少ない市場を作るかというもの
 →→こういうのもが支配的だった
・ドラッカーがそうではないといった
 →「企業のミッションは顧客の創造である」
 →→そういう意味で顧客創造・価値命題がでてくる

◇今はイノベーション系のビジネス思想家の影響力が高まっている
・ナレッジベースはいかにユニークな価値を提供するかのために有効
 →バリューは主観的
・戦略 = いかに1人1人の主観・価値を合意形成して自分の真理に向かって実現していくか
 →だから戦略以上に重要なのは組織であり人・最近、ポーターのコンサルティング会社が倒産した
 →価値命題が非常に重要になってきているということ

◇コトで世界を作る
・名詞ではなく動詞でとらえる
 →絶えずダイナミックな関係性を洞察する
 →動きながら考える
 →→SCRUMのプロセスがやろうとしていること
・ここで全てを総合するリーダーシップが重要になってくる

(後半へ続く)






野中郁次郎様、平鍋健児様、Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013 実行委員会様、翔泳社様、ありがとうございました。