2013年10月28日月曜日

【チラシの裏】A. H. マズロー『人間の動機づけに関する理論』の翻訳が公開されている件について

マズローの"A THEORY OF HUMAN MOTIVATION"の翻訳がありました。


A THEORY OF HUMAN MOTIVATION -J (Project Sugita Genpaku):
http://subsite.icu.ac.jp/people/yushi_inaba/ProjectSugitaGenpaku/Maslow.html
学生さんの作った翻訳なのですが、相互にレビューを行ったうえ、最後に教授による監修が入っているようです。



読んでみると、欲求の段階(順序)は絶対ではないとか、行動と欲求の関係は1 : 1ではないとか、巷で聞く欲求段階説の解説とはずいぶんと趣が違うような…


■欲求の階層について

『低次の欲求が満たされると1つ上の欲求を満たそうとする』みたいな話を聞くことが多いのですが、実際には

 基本的欲求の階層性の定着度 - 我々は今までこの階層性があたかも定着した順序の用に話してきたが実際は暗示したほど厳格なものではない。我々が研究してきたほとんどの人々が、このように示されてきた順序の基礎欲求を持っているように見えたのは事実だ。しかし、例外も多数あった。

階層は厳格なものではないそうです。




■欲求と行動について

また、"欲求は段階的に満たされる" というのは、"ある段階の欲求が満たされていない人は、その段階の欲求を満たそうと行動する" ということであり… つまり欲求と行動は1 : 1の関係になるみたいな関係で取り扱われるのですが、実際には

 あるいは換言すれば、ほとんどの行動は多様に動機 づけられているのである。モチベーションの決定要因として、いかなる行動もただ一つの基本的衝動によってではなく、同時に複数、あるいはすべての基本的欲 求によって、動機づけられる傾向がある。ただ一つの基本的欲求に動機づけられることの方が、複数のモチベーションを持つ場合よりも少ないのである。摂食行 為は、一つには食欲を満たすために行われ、また他方では安楽と他の欲求の充足のためになされるのだろう。

かならずしもそうではないみたいですね。




紹介したリンクはあくまで翻訳なのですが、それでも意外な発見が所々にあり、やっぱり出自に当たることは大事だなあと思いました。