2012年5月20日日曜日

Fearless Journeyかんたんガイド

Fearless Journeyのルールや準備・進め方をまとめた資料を作りました。



2012/05/21追記


1. ちょっとだけ改訂しました。


2, 私が作ったpngファイルは印刷するには解像度が低すぎました…
印刷したい方は次のリンク先にあるpdfをご利用ください。
https://docs.google.com/open?id=0Byh-cIUeiW9wRV9IVmVCZ3o2Zjg


Fearless Journeyかんたんガイド


◇Fearless Journeyって何?


ゲームです。

目的の妨げとなっている障害を、いかにチームで克服するのかを学ぶためのものです。

障害を取り除くための戦略をFearless Changeという本の48のパターンから持ってきているのが特徴です。


詳しくは以下のリンクをどうぞ。

公式サイト
http://fearlessjourney.info/


@kdmsnr様のスライド
http://www.slideshare.net/kdmsnr/fearless-journey



◇カードの準備

カードには、印刷すれば済むものと自分で内容を考えるものがあります。


・印刷すれば済むもの

パスカードと戦略カードの2つです。

1. http://fearlessjourney.info/からファイルを入手します。

2. 上記サイトの『FREE Download』から『FearlessJourney Game / English』『FearlessJourney Game / Japanese』をダウンロードしてください。

3, パスカードはEnglishのzip、日本語の戦略カードはJapaneseのzipに入っています。


・内容を自分で考えるもの

開始カード・成功カード・障害物カードは内容を自分で考える必要があります。

1. 何かの紙を切り出してカード状にします。

2. 自分のチームの現状や目的を書いたものを、開始カード・成功カードの上に置きます。

3. 目的達成を妨げる障害物を20個書きます。

4. 余ったカードは白紙カードになります。




◇最後に

先日のスクラムプロダクトオーナー勉強会で、Fearless Journeyを実際にやりました。

楽しかったです。皆さんも是非。




あと、気付いた点などあればご指摘くだされば幸いです。

2012年5月6日日曜日

『第9回情報デザインフォーラム - 情報デザインのワークショップ』ノート


2012/05/04に開催された第9回情報デザインフォーラムのノートです。素晴らしい講演がたくさんあった。だからその講演内容を的確にまとめてみよう…! と考えていたのですが、見返すとノートの半分は私の感想でした。

なお、当フォーラムのテーマは『情報デザインのワークショップ』であり、8人の講演者による発表と学生によるパネルディスカッションがありました。パネルディスカッションはただただ見いってしまったので、ノートはありません。



◆オープニング

情報デザインのワークショップという本を作るために資料を持ち寄って集まったら、その資料の内容がよくて、だったら発表しようじゃないか …という流れで今日があります。という話でした。ハイスキルな人同士が集まっているからこそ成り立つ、この頂上決戦的な流れは好きです。


◆第一部 大学でのワークショップ

◇山崎和彦氏 - 『情報デザインのワークショップ・プロジェクトと体験ワークショップ事例』

体験という言葉とワークショップとの関係性についての話がメインでした。たしかに、参加者が体験をとおして『学び』を得るという、ワークショップが持っている特性を語るのであれば、『体験』が持つ意味や価値について論じるのは重要なことだと思いました。特に印象に残ったのは「ワークショップを誰とするか?」という話です。割とあっさりと触れただけだったのですが、このくだりを聞いて、私が持っているワークショップという概念についての認識は飛躍的に広がりました。 …というよりは、自分の体験によって植えつけられたワークショップという概念についての認識が矯正されたというか。人と人のコミュニケーションを通して作り上げていくものがワークショップである、というあたりまえの点について自分の中で勝手に枷を作っていたのだな、と反省することしきりでした。

以下、メモ。

・ワークショップは知識を得る場所ではなく、作り上げて本当の学びの楽しさに目覚めるためのもの。

・ワークショップでは『体験』することが重要。つまり、ワークショップ自体のデザインが重要になる。

・ワークショップにおける体験の分類
  1. 自分が体験
  2. チームと一緒に体験
  3. ユーザの体験をする … デザインのワークショップでは重要

・ワークショップを誰とするか
  1. デザイナ同士
  2. デザイナ・ユーザ間

・体験とワークショップの関係
  1. 体験を観察するワークショップ … 相手を理解する
  2. 体験から発想するワークショップ … アイデアを広げる
  3. 体験を視覚化するワークショップ … 個人的な作業を共有・評価し広げる
  4. 体験とビジネスを考えるワークショップ 
  5. 体験と社会環境を考えるワークショップ

・ワークショップの目的
  1. 学ぶ楽しさ・自主的な学び
  2. 発想の拡大・視点の広さ
  3. 共有・合意形成
  4. 相手の理解促進



◇原田 泰氏 - 『インフォグラフィックスを通して学ぶコンテンツ・デザイン』

図や絵は言葉と同じであるという価値観を持っているということをおっしゃており、実際にスライドの中で使われているインフォグラフィックスを見ると、ポテンシャルが高い表現技法なんだな、と興味を惹かれました。

  • インフォグラフィックスの制作工程

  • 1-1. 現実
    1-2. 解体
    1-3. 再構成
    1-4. 表現
    1-5. 魅せる/反応
    ↓
    (フィードバック)
    ↓
    2-1. 現実
    2-2. 解体
    …
    この説明の際に使用している図が印象的でした。現実をパズルのピースのように解体しそれを再構成している図なのですが、メッセージがとても明確に伝わってきて、それが非常に印象に残りました。後で参考にしようと急いで描き写したのですが、私の描いた絵はまるで小学生の落書きみたいな感じになっていて、当初の意図とは異なる”味”のようなものを醸し出していました。スライドの写真を撮っておけばよかったとつくづく思います。

  • コンテンツ・デザインはメッセージを自分の言葉で表現し人に伝えるものである。
  • インフォグラフィックスの利点は『人に伝えることができる』『次の工程で再利用できる』ということ。
  • このような教育を行なう意図
  • ・ラピッドプロトタイピングをする体質を作りたい
    ・自らフレームワークを作り、使いこなせるようになって欲しい

インフォグラフィックスの視覚言語としての表現力と可能性を目の当たりして、モホリ・ナギのフォトモンタージュ作品やその造形理論をおさらいし直したいなー、とか思いました。



◇上平崇仁氏 - 『デザインワークショップの故きを温ねて新しきを知る試み』→『昔の事例を再解釈して新しいデザインワークショップをやってみた』

過去の人達が作ったり実践したデザイン性の高い作品・授業・ワークショップを元にして、ワークショップを作成しているという話をしていました。そして、ワークショップを作り実践する中で浮き上がってくるものを指して「過去の事例から変わらない大事さが見える」ということを言っていました。時代を越えて普遍な大事なものがあるよね? ということです。また、過去のワークショップに学ぶことについて「そうしないと先人の実践が埋もれたままになってしまう」といった趣旨の話をしていたことも印象的でした。

そのほかにも、ワークショップやその周辺の概念についての見解を述べていたのですが、この点についても関心することしきりでした。一方的に教えるというやり方のデメリットの話から、これを裏返す形でワークショップを選択することの理由を導き出したりしており、私は見事に説得されました。


以下、メモ。

  • 何故ワークショップか? 『人は言えば聞き、聞けば理解する』わけではないから。
  • 学びは、知識をためるものではなく、社会的に構成されるべきもの。
  • 教えることにはデメリットがある。教わる側に固定観念ができ、それによって思考停止してしまう。だから、教えるより自分で学ぶ(ワークショップの)方がよい。
  • ワークショップのツールに重要なこと。道具になっていて、参加者がお互い確認ができるというオープン性があること
  • ワークショップには限界がある。参加することでやった気になるが、自信には繋がらない。また、ワークショップ中毒者というものが存在しており、彼らは週末温泉に行くかのごとくワークショップを利用している。

・ワークショップの構成要素
  1. 身体
  2. 協働
  3. 創造
  4. 共有
  5. プロセス重視

・ワークショップのポイント
  1. 先生はいない
  2. 客ではいられない
  3. はじめから答えがあるわけでない
  4. 頭とからだが動く
  5. 交流と笑いがある

・ワークショップの切り口

明確に切り分けできないが、次の2つがある。
  1. ワークショップを通して何かをデザインする
  2. デザイン手法や考え方をワークショップで学ぶ

・まとめ
  1. デザインにおいてワークショップと実践は同等
  2. 過去の事例から変わらない大事さが見える



◇安藤昌也氏 - 『写真を使った価値マップによるサービスアイディア発想』

サービスデザインの領域がだんだんと拡大しているという話と、ワークショップに適用する概念として『AT-ONE』というものがあるという話をしていました。で、後者の『AT-ONE』についてUXをする人が陥りがちな点と、重視すべき概念について話をしており、なるほどなーと思いました。

以下、メモ。

・サービスデザイン領域の拡大
  1. 『ニーズの充足』自体を価値とし、それを提供
  2. 『欲求の実現』体験した人が感じることを価値とし、それを提供
  3. 『意識→参画→価値』価値ではなく機会を提供

・AT-ONE
  1. Actor 登場人物を広く
  2. TouchPoints どうつなぐか
  3. Offering 何を提供しているか
  4. Needs 本来満たすべきニーズは何か
  5. Experience

・AT-ONEのポイント
  1. Offeringが重要。
  2. Offeringを正しく導けば、正しいActorやTouchPointsを導くことができる。
  3. UXはNeeds, Experienceを考えがち。



◆第二部 社会人のためのワークショップ

◇木村博之氏 - 『インフォグラフィックスは自分で考え行動させるためのキッカケデザイン』

インフォグラフィックスやコミュニケーションの手段に留まらずプロダクトへ適用範囲を広げているという話が大きかったです。デザインが求められる領域がどんどん広がっているというか、デザインに対するリテラシが大きくなっているのだな、という話です。個人的には、デザインに予算を投下できないようなプロジェクトでも、それなりのデザインを持っていることは大前提になるのではないか? という気がしています。私はそちらの方がいいので、情報デザインやユーザエクスペリエンスという技術が、世界にあまねく浸透し広がってくれることを本当に期待しています。また、ワークショップに参加することについて述べた際に「自分で考え行動するためのきっかけでしかない」と言い切っていたのが非常によかったです。


以下、メモ。

・フレーミング・リフレーミングが重要

・インフォグラフィックスの作成手順

(だいたいこんな感じだったような…)
  1. 伝えたいことを決める
  2. データを集める
  3. 伝えたいことを再考する
  4. 表現を考える
  5. 情報を絞り込む
  6. レイアウトを考える



◇小路晃嗣氏 - 『組織におけるワークショップの目的とその運営のためのポイント』

組織とワークショップという、私にとってピンポイントかつ即効性があるという非常に気になる講演でした。内容も期待を上回る素晴らしい内容だったのですが、全体としてメモがぜんぜん追いついていかなったという… 非常に残念です。「もっと大事な情報がたくさんあったような気がするのだけど…」と、ノートを見返す度に思います。スライドが公開されることを祈るばかりです。また、『ワークショップ開催のポイント』の箇所のスライドで、皆がカメラを取り出して撮影しまくっていたのは非常に印象的でした。私も確固たる決意を持って撮影に望めばよかったと思います。

・ワークショップの開催は継続して行なうことが大事、というのが結論。

・ワークショップには縦割りの組織の中で機会がないような人々が会う、というメリットがある。

・会社では費用対効果が求められる

・ワークショップ開催のポイント
  1. 儲けること前面に
  2. 責任と範囲を明確に
  3. 継続できるように
  4. 収支バランスを図る
  5. 税で社会に貢献する

・ワークショップ開催の合理的な側面
  1. マニュアル化して誰でもわかる(開催できる)ように
  2. レビューと改善を行なう

・ワークショップ開催の俗人的な側面
  1. メソッドやガイダンスとして余白に表現する
  2. 人間力によるOJTを行なう



◇脇阪善則氏 - 『UX TOKYOとワークショップ - サード・プレイスとしての機能と役割』

『ユーザエクスペリエンスのためのストーリーテリング』の翻訳者です。非常にためになる本で、たびたびお世話になっております。今回は『UX TOKYO』を基点として、ワークショップの機能と役割について述べていました。特に印象に残ったのは、ワークショップを開催・洗練させていく中から非常に具体的な成果物を作り出す、という展望に関する話です。私にも計画的にものを見る視野が欲しいと思いました。

以下、メモ。

・ワークショップとは
  1. 本の学びを実践する場
  2. 実践の場
  3. インプットした知見を消化してアウトプットする場
  4. 新しいことに挑戦する場

・ワークショップを通して経験の蓄積ができる
  1. 実施
  2. デザイン発想
  3. フレームワーク化
  4. 技術仕様化



◇浅野 智氏 - 『企業にHCDを根付かせるワークショップとその開発』

『何かを教える』ということと『教えるということについて責任を持つ』という点について、非常に印象を受けました。私の持っている価値観に「『何をすればいいか?』よりも『何故そうしようと考えるのか?』という、その人の持っている行動原理や価値観に触れたり想像できることが非常に重要である」 …こんなものがあるのですが、この講演はこの点について強く働きかけるものでした(あくまで私の印象です)。また、講演内容には実用的な内容も多々含まれており、学びがたくさんありました。

なお、特に強く印象に残ったのは、HCDを教えるためには7回のワークショップが必要ということと、この点については絶対に譲れないというものでした。つまり、「3回でやってくれませんか?」というお誘いがあっても、HCDを教えるためには7回のワークショップが必要なため、断固として無理、という話です。『断る』『譲らない』という行動や価値観について、私にはここまでの力強さがありません。だから印象に残りました。

また、ワークショップの構成についての考え方も参考になりました。
  1. 概論について講義し、以降の学びのメンタルモデルを形成する(これは絶対必要)。
  2. 全体像がわかるワークショップを行なう。
  3. 以降は個別のテーマについてワークショップ。結果がでやすいものから行なう。

その他、メモしたポイント

  • ワークショップは楽しいことが大事。
  • ワークショップを作る時はただ思いついたものではなく、もっと長いスパンで教えているようなものを落とし込む。
  • ワークショップでの学びが根付くところとそうでないところがある。社内に強力な推進者がいるところなら根付くが、トップダウンでやっても定着しない。






後援者の皆様, パネルディスカッション発表者の皆様, 主催者の皆様, ありがとうございました。

『第9回情報デザインフォーラム - 情報デザインのワークショップ』感想

2012/05/04に開催された第9回情報デザインフォーラムの感想です。情報デザインのワークショップというテーマについて、8人の講演者による発表と学生によるパネルディスカッションがありました。以下はフォーラムに参加した感想です。

あと、『情報デザインの教室』は買っておこうと思いました。


◇情報デザイン及びUXの価値が高くなっている

山崎氏が体験とビジネスを結びつけることについて述べていらっしゃいました。木村氏はインフォグラフィックスがコミュニケーションの手段にとどまらず、プロダクトの領域に進出しているという話をなさっていました。浅野氏は「PCをすっとばしてスマホを手にするユーザが増えており、彼らは利用するコンテキストに合わないプロダクトをわざわざ使おうとしない」という話をなさっていました。

また、元IDEOのElle Lunaさんが来日した際におっしゃっていた話の中に「市場の評価におけるデザインの割合が大きくなっている」というのがありました。「そんなところにまでデザインの概念とその重要性が広まっているのか」という印象とともに深く印象に残ったのですが、前述したようにこのフォーラムの中でもデザインの価値が繰り返し取り上げられており、デザインという概念がビジネスのさまざまな領域に織り込まれ始めているのだということを改めて認識しました。



◇人間中心設計とワークショップは親和性が高い

ざっくりとした言い方になりますが、協働するという点において、これらは非常に似ていますよね? 互いの(前向きな)コミュニケーションをとおして成果物を制作するというプロセスは同じなわけです。それから、(けっこう大事なことなのですが)成果物を評価する基準も何か似ているような気がします。

私がメインとしている業務系のソフトウェア開発の場合、利用者とプロダクトの所有者と開発者の利害は著しく一致しないという問題があり、求められるコミュニケーションのベクトルがワークショップのそれとは違うのです。予算と納期と品質と機能があって、それぞれについて三者間での落としどころをひたすら探すというか …そういう観点から見ると、情報デザインとワークショップの親和性の高さは羨ましいです。


◇ワークショップの開催目的をはっきりとさせることが重要

ワークショップをとおして考え方を学ぶ、という話であればワークショップはそれ自体が目的となります。他方、ワークショップをとおして何か有意義な成果物が作りたい、という話であればワークショップはあくまで手段ということになります。前者であればワークショップの参加者に求められるのは参画する意識と必要最低限の予備知識ですが、後者であれば参画する意識よりはきちんとしたアウトプットを出せるだけのスキルが重要になるでしょう。ワークショップを開催するにあたって、これらの区別を行わないということはあまりないでしょうが、もししなければ散漫になってしまうのかな? と思いました。


◇主催者・参加者それぞれがワークショップについての学びを持ち帰ることが重要

ここでいう学びは『ワークショップについての学び』です。

ワークショップ自体はそこそこの歴史があるものであり、学びの手法として強く根付いているものだと思います。そういう意味では、ワークショップというものはなかなかに語りつくされており、それが何であるかという議論も一通り出尽くしているのかな、とも思います。

一方で、このフォーラムの講演でもワークショップにおける体験や経験が未分化のまま語られることがあったりして、まだまだ発展途上で未知の領域が沢山あり、だからこそワークショップについて学ぶことが重要なのかな、と思いました。

ワークショップに参加したけど「あまり発言できなかったし、得るものが余りなかったな~」という経験や、ワークショップを主催したけど「みんなピンと来ない顔をしていたし、ディスカッションも盛り上がってなかったな~」という経験など、こういったものをうまく整理してくれるような概念やプラクティスが揃ってきてくれるといいと思います。


◇ワークショップはあくまで学習の一手段であり、銀の弾丸ではない

ワークショップが何であるかという話や、ワークショップの持つ特性、ワークショップの持つポテンシャルなど、いろいろな観点からワークショップについて語られていました。そういったメリットについての話の総体として、ワークショップは座学を超える学習の手段なのだな、という感覚を抱きました。他方、ワークショップが持つ中毒性を温泉に例えて警告を発している方もいました。また、ワークショップを通して学んでも、それが定着しない組織がある、という発言もありました。で、良いところと悪いところをまとめると、ワークショップが有益であることは間違いないが、それは適切な使い方があってこそなのだと思いました(当たり前のことですよね)。

また、ワークショップは協働という形態を取るので学びを共有することは必須です。なので個々人が学びを深堀りする必要があるテーマの場合や、学びに個人差が生じやすいようなテーマの場合、ワークショップは逆に弱いのかな? とも思いました。








後援者の皆様, パネルディスカッション発表者の皆様, 主催者の皆様, ありがとうございました。

2012年5月2日水曜日

セーフウェア - 安全・安心なシステムとソフトウェアを目指して


この本はコンピュータ制御システム及び、コンピュータ制御システムに携わるエンジニアのための本です。

私が関わる業務領域の中には、安全性のためだけにここまで論理を組み上げて品質を作りこむ必要がある領域というのはありませんでした。

業務系のシステムでは(要件が人の生死に関わらないという範囲において)品質や安全性は、コストに対してトレードオフさせるのが一般的です。そして、大抵の業務系システムの要件は人の生死には関わりません。私が携わってきたシステムの中にもそのようなものはありませんでした。おそらく、今後もないでしょう …ですが、ここまで知っておいて損することはないとも思います。

分析や設計をする際、その思考プロセスの根底に安全性や信頼性が横たわっており、それを見通しながら作業を進めることができるのと、そうできないのとでは、成果物のできあがりに明らかな差がでるように思えてならないからです。私は設計に品質を織り込みたい性格なので、存在を知った瞬間にこの本を即買いしました。

いわゆるSIerが取り扱うシステム・業務領域というのは、この本で対象にしているものとは違います。ですが、安全設計に係る考え方を知っていることは全く損にならないし、ここで学んだことをシステム構築に応用できたなら、それは素晴らしいことです。


◇どういう本か

コンピュータ制御システムなどの中に入っているソフトウェアが対象となっています。その中でも、システムのエラーが人の生死に直接的に関わるようなシステムに特化した内容になっています。なので、エンタープライズ・ビジネス系のそれとはだいぶ毛色が違います。

例として、信号の制御システムを考えて見ます。

車の運転中に全ての信号がいきなり真っ暗になったら困りますよね? で、交差点とか横断歩道を越える際にはものすごい神経をすり減らしながら走り、精神ががっつり削られたくらいにやっと家にたどり着いて、調べたら「初歩的なエラーでソフトが落ちたらしいんですが、原因が分からないんですよね。あの後に再起動したら、なんかうまく動いているので、しばらくはこのまま監視しようと思います。トラブル発生時のログなんてとってないし、まあ、再現したらそのときに調べますよ」とかいう話だったとします。今まで事故を起こさずやってこれたことに感謝すると同時に、明日からの自動車の運転に深く絶望し、同時にこのシステムに携わる全ての人間をぶっとばしてやりたい、という感じになりますよね?

そういったクリティカルなシステムをつかさどるようなソフトウェアを安全に構築するための理論や方法論までを包括的に述べたのがこの本です。


◇内容

人の生死に関わるようなシステムの設計方法を述べるだけあって、コンピュータ制御システムの安全について詳細に論じられています。大体、次のような感じです。

  1. リスクの概念をコンピュータに結び付ける。
  2. これをコンピュータにまつわる誤った神話に関連付け、解きほぐす。
  3. 事故の原因におけるシステムとヒューマンエラーの関係から、人間の役割について論じる。
  4. 工学的観点からシステム安全について述べる。
  5. システムを安全に作成・運用するためのプロセスについて論じる。
  6. ハザードを分析し、要求分析フェーズで検討するための手法について述べる。
  7. 安全性のための設計やインタフェースの設計について論じる。


◇付録

システムハザードを伴う10の重大事故のレポートが巻末に付録として収録されています。チャレンジャー号・ボパール・チェルノブイリといった有名なものから、Therac-25・セベソといったものまで多岐にわたります。

中でも、Therac-25のレポートは衝撃的です。この治療機器には、特定の条件下で起きるソフトウェアのエラーにより、致死量の放射線を患者に浴びせてしまうというハザードがありました。ですが、Therac-25の発売直後には誰もそんなことは知りませんでした。だから、致死量の放射線を浴びせたとしても治療者は気づきません。そして、致死量の放射線を浴びてしまった患者は、患部に強い痛みを感じたまま家に帰り、数日後に原因不明のまま死んでしまうのです。そうやって何人かの死者を出した後、一連の死者はシステムハザードの犠牲者であり、犯人はTherac-25、原因はソフトウェアのバグ、いうことが明らかになります。

患者が体調不良や違和感を訴える一方で、治療医や製造業者はシステムが抱えている危険を認識していなかったりします。認識不足、ちょっとしたミス、簡単な見落としや思慮不足が重篤事故に繋がり、人の生き死にに直結するのです。そう考えると、非常に恐ろしい話です。


◇最後に

この本の対象に業務系システムが含まれていないということは書きました。それはこの本の論旨からも明らかです。しかし、これは、この本がシステムの用途と人の生死がリンクするようなシステムについてしか取り上げていないだけ、という話であるとも考えます。

業務系のシステムの中には、「これ本当に運用設計したの? あと、この挙動バグじゃない? 問題ないの? これ、詳細設計とか書くようなプロジェクトじゃなかったっけ? ところで、テストの資料は? え? もう残ってないの? じゃあ、これが要件を満たしていることは誰が担保してるの? えー? それは…」という、いろいろと酷いシステムがあって、運用チームが神経をすり減らしながらだましだまし動かしているようなものだってあるわけです。ある意味で、人が緩やかに死んでいくようなシステムです。

そういうシステムを見ると悲しい気分になります。たしかに、業務系のシステムは要件的に人の命には直結しないものばかりですが、システムのライフサイクルと携わる人達全てにまで視野を広げれば、(例えこの本が私のようなエンジニアを視野に含めていないとしても)この本が私には無関係である、とは言い切れないのです。

私は、デベロッパー・プロダクトのオーナー ・ それからユーザー ・ その他もろもろの関係者が心穏やかにすごせるようなシステムを作りたいし、そのためには設計に品質を織り込むというアプローチは非常に有効だと考えているし、そのときにこの本の知識があれば役に立つんだろうな、と思っているわけです。




各章を読んでノートしていきます。

2012年4月23日月曜日

Infotalk#41

2012/04/20に開催されたInfotalk#41のノートです。


講演の内容も面白かったですが、質疑応答の話が(自分にとって)リアルで興味深かったのでこちらのノートをまとめました。話題が多岐にわたっているのですが、それぞれに「なるほどー」と思うところがあってよいです。 …もっと話を聞きたかったし、懇親会には参加すべきだったと素直に思いました。



◆モデリング

◇ユーザにモデリングしてもらうことの目的

まず、モデリングの目的について考える。成果物が目的なら専門家がやればよい。参加している人達に全体像を理解してもらうことが目的なら極力彼らにやってもらうようにした方がよい。技術を身につけるためには、見るだけではなく五感を使うことが効果的である。


◇概念モデリングを実生活の中で身につけるためにオススメの方法

本を買ってやってみてもわからない。講習会に行くか、経験者と一緒にやってみる。

モデリングには適正があり、できる人とできない人がいる。センスがある人は1日2日でも割とできるようになる。(あくまで山勘だが)まともにモデルできる人は5%くらいしかいないのではないか。ただし、できない人にも分かる日が来る。


◇いままでモデルを知らなかった人がモデルをとらえられるようになる、という変化について

(モデルを)とらえるというよりは、(モデリングを)分かってしまうというのが適切だと思う。

例えば、PBLの成果発表の際に聴衆からアンケートを取ると「あんなのでわかるわけがない」という回答がよくあり、やったことがない人がそう思うのは当たり前だと思うが、やっている人はPBLのやり方で分かってしまう。論理的な話としては怪しいが、そういうものがある。


◇論理だけでは達成できない世界がある?

論理だけで達成できる世界とそれだけでは達成できない世界があるのではないか。非科学的な話になるが、潜在脳みたいなものがあり、そこで問題意識を持ってとらえていると、ある日突然それが顕在脳に移り、「あぁ、なんだ…」というものになったりするのではないか。


◇モデルができる人とできない人の違い

本人が分かると思うかどうか。やってみて「なんだこれは」「こんなのやっても仕方がないじゃないか」と思ってしまう人はやらない方がいい。モデリングはあくまで特性の1つであり、それが全てではない。全員ができる必要はない。モデルと違う頭を持っている人は、自分の得意なところを伸ばせばよい。モデルに拘る必要はない。



◆情報システム業界

◇収入・就労形態及び業界について

雑誌などにIT業界年収ランキングなど掲載されていることがあるが、あれはあくまで平均年収。稼いでいるのはフリーでやっている人やコンサルティングファームにいる人。情報システムのSEという範疇だと余り稼げない。

日本の情報システム産業は人貸し業になってしまっており、人月幾らで人を貸すという話しかやっていない。なので、例えば月200万の人間の年収は7~800万くらいだし、60万なら年収200万くらいにしかならない。そういう意味で人貸し業としてのITベンダーは終っている。


◇CIOについて

日本にはまともなCIOはいない。これが上がりのポスト、という人がいっぱいいる。偉くなった人が最後の数年を過ごすポジションである。つまり、可もなく不可もなく終るということしか考えていないような世界。

◇情報システムの成熟度について

1. CIOがいらない世界

一番最初の情報システムはサイロ型。それぞれのシステムが独立。システムは特定の機能だけを表現する為のもの。インタラクションは皆無。情シ部の部長や課長がいて、次に何を作ればいいかが分かっていればいい。


2. 情報システム部の部長上がりでCIOが勤まる世界

コンピュータのスペックが上がってくると、インフラを統合しようという話になり、方法論を標準化しようという世界になる。情報システムの長には、技術の観点からシステム間の横串をさす技術が求められる。


3. CIOにビジネスの観点が必要となる世界
CSMなど、ビジネスの中で横串を指すという話になっていく。そうすると技術だけでなくビジネスの観点が必須となり、ビジネス出の人がCIOになる。これがここしばらくのトレンド。


4. 最近~今後の世界

ビジネス出の人がCIOになるというトレンドがあったが最近では逆になっており、実装方法が求められるようになっている(例えばホストと、PCサーバを並べてスケールさせるのではコストが全く違う)。こういう世界でシステムを考える為にはハイブリッドなスキルが必要になる …でもそんな人はいないので、ビジネスと技術の両方ができるチームを作り、対応していくような世界になっていくのではないか?





南波 幸雄様、KOYAMA Hiroshi (pk0612)様、ありがとうございました。

2012年4月14日土曜日

第5回 TFSUG:ウォーターフォールからアジャイル、リーンへ - TFS de アジャイルを書いたわけ

2012/04/13に行われた『第5回 TFSUG:ウォーターフォールからアジャイル、リーンへ』のノート。これは前半。


■『TFS de アジャイルを書いたわけ』

『TFS de アジャイル』は、『寝ても覚めても.NET(?)』というブログの次の記事です。

・寝ても覚めても.NET(?) - TFS de アジャイル
http://cs.gogo-asp.net/blogs/libaty/archive/2012/03/28/TFS-de-_A230B830E330A430EB30_.aspx


自分のスタンスやアジャイル導入への経緯、アジャイル導入後について、行ったことや感じたことが綴られています。

libaty様自身が引き続きブログで体験談や思ったことなどを綴っているので、詳しい話や経過を知りたければそちらを見た方が確実なのですが、個人的にとても興味深かったのでノートにまとめました。



◆前提

・体験談であるが、アジャイルを実際に始めてから5日しかたっていない。



◆状況

◇背景・周辺

・アジャイルには特に興味はなく、ウォーターフォール開発を続けていた。
・頭の中はウォーターフォール一色。
・便利そうなのでユニットテストや自動ビルドなどのプラクティスは使っていた。
・社外の知り合いにアジャイルソフトウェア開発に携わる人物が多数いる。
・グループ会社内に導入実績が多数 + アジャイル支援チームがある。


◇アジャイルへの立ち位置

・始めようとしたのがここ数ヶ月の話。
・やってみたいという意識が強い。
・アジャイルが本当においしいか知りたい。



◆導入への経緯

◇1月~2月の種蒔き

次の活動により、ミーティングで居眠りしている人物が発言するようになった。

・技術関係の勉強会から、アジャイル関係の勉強会へ参加の幅を広げた。
・部下をイベントに引っ張り出した。
・上司にはアジャイル関係のイベントに行くことを伝え続けた。



◆導入

◇流れないウォーターフォール開発を続けているパッケージにアジャイルを行うという形で参画


・流行っているということでスクラム。
・スプリントの長さやリリースのタイミングは、だいたいこのくらいと聞いている数値を採用。
・プラクティスをいろいろやってみる。
・プラクティスの採用に迷ったら、とりあえずやる方向に倒す。
・困ったときはアジャイル支援チームから助けをもらえる体制へ。
・タスクの2点見積もりを採用。
・チームメンバーと目的や意識の共有をした。

・敵対関係(怒り)の感情を作りだす。敵はチームメンバーではなく、問題。



◆導入後

◇実際にやってみて困ったこと

勉強会は15時間を行ない、やり方はわかっていたが…

・フィーチャとファンクションの区別。
・タスクやバックログの粒度。
・開発に必要なドキュメントって何?
・品質保証、品質管理、テストはどうするの?


◇アジャイル支援チームから次の指摘があった

・何故やるのかを考えるように → 言われたがピンとこない。
・とりあえずやってみれば → 失敗したという前例は、採用しない理由になってしまうので怖い。


◇タイムボックスの使い方が難しい

・タイムボックスの枠内で会議ができない。話が発散してしまう。
・時間内に収まらないので延長してしまう。
・とりあえず同意して済ますと、後でひっくり返す人物がでてくる。


◇スプリントも難しい

・作業について時間に追われているような感覚になる。
・ヒマがなくなってしまう。


◇計画できない・考えても仕方がないという状態で動くことへの気づき

・時間を使っただけになってしまう。
・その場でどうすればよいか困ってしまう。
・とりあえずやってみると無計画は似ているが違う。
※註:前者は『ある程度まで段取りなどした上で見切り発車』、後者は『何も考えずにする』、という区別をなさっていると思います。


◇その他

・頭をすごく使うので疲れる。
・お菓子の重要性を認識。




◆良かったことと悪かったこと

◇良かったこと

・みんなで仕事をする、という感じがでてきた。
・議論が活発になった。若手も自発的に発言するようになった。


◇悪かったこと

・疲れる
・メンバーの(技術・ファシリテーションなどの)スキル差が如実に現れる。





TFSUG様、@LIBATY様、@SHIBAO800、お疲れ様でした。


2012年4月7日土曜日

『 IDEOディレクターElle Luna氏とOneSheetの創業者Brenden Mulligan氏による「Startup Strategy」』ノート

2012/04/04に開催された『 IDEOディレクターElle Luna氏とOneSheetの創業者Brenden Mulligan氏による「Startup Strategy」』のノート。


これはElle Lunaさんのプレゼンテーション。

※管理人のヒアリングスキル及びあくまで意訳であることには留意してください。








◆Elle Luna 『How you can think like a designer To make difference in your startup』

 - 『デザイナーのように考え、スタートアップを差別化する方法』


◇はじめに

 今日お話するのは、本当に具体的なことです。

 IDEOを辞めスタートアップの会社に入ったときくらいから、ずっと考え続けてきたことです。

 スタートアップにあたり、デザイナーのように考えるには? ということについて話します。テンションがあがってしまいます。




◇何故デザイナーのように考えるのか?

 スタートアップの際、なぜデザイナーのように考えなければいけないのか?と思っている人もいますよね。

 あくまで私見ですが、スタートアップをデザインすることは必要不可欠だからです。

 それはrethinkすることであり、(デザインがなければ)会社の評価はそれだけ小さくなってしまうからです。

だから話すのです。デザインは本当に重要です。



◇何故デザインなのか?


自分のビジネスが将来どうなるかなんで誰にもわかりません。スタートアップも、何がどうなるかはわかりません。

最善策の代わりとして、『試してみる』ことができます。

あなたはマーケットにフィットする箇所を、スタートアップの中から見つけようとします。ファウンダは、開始してみるまでそのサービスがどこに向かって進んでいるのかは分からないものなのです。

たくさんの曖昧さがあります。たくさんの知らないことがあります。デザインが素晴らしいのは、それが曖昧さを許容する為の非常に偉大なプロセスであるからです。プロセスがあれば、どこに向かっているのかわかります。



1. Start with people - 人から始める

最初のステップは『人から始める』。ブレインストーミングやイケそうなアイデアの実現方法に時間を費やす代わりに、そうするのです。ブレインストーミングから始めてしまうことには本当に問題があります。外の世界に触れないままで明確化できる、という人はそう多くないのです。

では、本当の課題はどこにあるのでしょうか? 課題は生身の人間のところにあります。日々、あなたの周りの人達は問題を抱えています。あなたは助ける必要があります。


※ここでSquare創業者が引き合いに出される。彼は、人を良く観察し、カードでの買い物には沢山のプロセスが介在していることに気づいた。そして、そのプロセスって本当に必要なのか? となった。





人から始めるにあたって、次の三つの質問を自分に問いかけましょう。

・人々が抱える日々の本当の課題をどのように観察できていますか?

・あなたのプロダクトを(多少手間があったとしても)ユーザが使おうとするモチベーションは何ですか?

・あなたのプロダクトの中でstep1. step2. …のような(こまごまとした)操作をユーザにさせているものは何?





2. Stop talking, start making - 話すより作る

スタートアップのアイデアは聞きたくありません。私は見たいのです。ポストイットでも構いません。できあがった何かが見たいのです。

それがあれば、皆とより早いタイミングで、より実りのある話ができるのです。

もう1つポイントがあります。よいアイデアというのは思いを巡らせているときには出てこないということです。考えることは素晴らしいことですし、よいアイデアを持っているというのもわかります。

しかし、実際にアイデアを掴む為には、作らないといけないのです。

分かりますか? 作り、試行する、ということを始めなければいけないのです。

さて、私が大好きな、作ることの力やどうやって全く作り変えてしまうかに関するIDEOでの話をします。


※鼻の美容整形に使用する器具の製作事例を紹介





もう作り始めることができますね。

・プロトタイプから何を学ぼうとしていますか?

・学びたいことを迅速かつ多量に得る為に、どうすればよいですか?

・チームは、明日からでも大まかなプロトタイプを手早く作ってみせることができます





3. Prepare to throw away a lot of work - たくさんの仕事を捨てる為の心構えをする

頭にあるものを実体に落とし込むため、手早くプロトタイプを作ります。つまり、沢山の物ができあがるということです。

これでもかというくらいの山を見たこともあります。

あなたは思考を重ね、沢山のアイデアを目に見える形にします。沢山の物を作り、そして、いつかは放ってしまう必要があります。

さて、よりよくするために沢山の成果物を捨てて見せたインスタグラムという企業の話をしましょう。

彼らが最初に始めたのはBurbnというサービスでした。150人向けのベータテストを行ない、ファウンダはユーザの行動を観察しました。

なんと、ユーザは写真をアップロードしようとしていたのです。Burbnに写真のアップロードする機能はなかったにも関わらず、です。

ユーザは写真を他のサーバにアップロードし、そのURLを貼り付けることで写真をやり取りしたのです。なんでこんなイカれたことをやっているのでしょうか?

ユーザは超カッコいい写真をシェアしたかったのです。

ここで彼らは気がついたのです。「写真をシェアするというのはこんなに面倒なのか。たかが写真のアップロードをする為だけに、Burbn外のサービスで幾手間もかけないといけないなんて…」

彼らは考えたのです。「なんで、何を差し置いても(写真をシェアする機能を)提供していなかったのか? みんながカッコいい写真をシェアしたいなら、それが彼らのニーズじゃないか?」

そして彼らは6週間でインスタグラムを作りました。6週間ですよ!

なんでこんな短期間でできたかというと …Burbnのインフラストラクチャがあったからです。Burbnは非常に複雑なアプリケーションでした。だからBurbnをリビルドするのではなく、Burbnから使えそうなものを取り出して作りあげたのです。

Burbnは非常に複雑でしたが、全て捨てました。最良の部分だけを取り出し、この絞り込まれたシンプルなプロダクト(インスタグラム)ができたのです。

たくさんの人に親しまれている、それがインスタグラムです。

なので、できあがったものを捨ててしまう心構えはしておきましょう。





ここで、3つの質問があります。

・あなたは作ったものを捨てられますか?

・捨てるときに直面する困難とは?
→それが他の部分と結合してしまっているときです。

・ユーザエクスペリエンスをシンプルにする為に切り捨てられる余計な機能はなんですか?





4. Spend as much time as possible talking to people who don't start startups - スタートアップをしていない人と時間が許す限り話す

時間はできるだけスタートアップをやってない人達と話す為に使いましょう。

我々にとって、こういう場所(このイベント)に来て会話をしたり、どこかのスタートアップにいっては友達と話をしたり、スタートアップの輪とつるむのは容易いことです。なので、サンフランシスコには20代の企業家がデザインしたアプリケーションが氾濫することとなります。私だったらもっとよくすることができる、というものばかりです。

ある企業の話をしたいと思います。シリコンバレーでは無いものとされていた人達にフォーカスし、世界のどのスタートアップからも差別化した企業です。すぐに注目され、急成長したシリコンバレーのスタートアップです。

Pinterestです。Pinterestというのは仮想のピンボードです。気に入ったものをピンして、シェアすることができます。ユーザーは気に入った画像をピンできます。

デザインは綺麗かつ非常にスマートな作りで、パワフルなプロダクトです。ただ、疑問があります「これが誰かを引き付けるのでしょうか?」

ヒントはサンフランシスコにいる男性ではないということです。 …母親です。 Pinterest はたくさんの母親を引き付けているのです。500万人の母親に愛されています。ここには典型的なサンフランシスコのギークはいません。

Pinterestは女性駆動です。西海岸でも東海岸でもなく、アメリカ中部から中西部に住んでいる女性です。

彼女達はレシピをピンします。夕飯を何にするか考えたいのです。手芸のアイデアもピンします。休暇など、子供達に着せる服用のものです。

あとはかわいい子猫の写真をピンしています^^。

このPinterestの基本的な点こそが、Pinterestを怪物たらしめているのです。

Pinterestのユーザ層はいわゆるシリコンバレーのそれとは違います。

彼女達はTechCrunchを知りません。(逆説的になりますが)だから、 Pinterest はシリコンバレーの外で見出されたのです。

ではどうやって手付かずの巨大なユーザ市場を見つけるのでしょうか?
彼らには男性以外をターゲットにするということと、デモグラを使うことへの才能がありました。

だから、信じられないくらいの巨大な市場を見つけることができたのです。





あなたに必要なのは次のものです。

・スタートアップの外の世界で、誰と話していますか?

・自分が推測していることに取り組んでいますか?

・インスピレーションの為に、文化や流行あるいはそれに近い体験をどのくらいしていますか?

・あなたの市場に対し、デザインをすることができますか?

アプリケーションを次から次へと作る際、デザインは信じられないくらいの競争優位になります。友人とコラボレーションし、始めましょう。





5. Humanize your story - 自身の物語を人間味のあるものにする

最後のステップは、あなたの物語を人間味のあるものにするということです。

作業を終え、スケッチを終え、ピザをこれでもかと食べ終える頃、ユーザーの全ての困難と向き合いたいという欲求がでてきます。

言いたいのは、彼らはそんな困難を求めていないということです。

広告なのですが、このビデオを見てください。

これはカナダのイヌヴィク(Inuvik)という小さな町のビデオです。この町では1年のうち1ヵ月、日が昇らないのです。

トロピカーナは10万ルーメンの明かりでこの小さな町を照らしました。





人はあなたが作ったものから、何かを経験します。
人はあなたがこの世界へもたらしたものに興味を惹かれます。
人は特徴を友人やチームへ話そうとします。
人は製品に隠れた力を、余すことなく友人へ話そうとします。
何を感じたかを覚えているのです。だからあなたの作ったものを愛するのです。

人を射抜く為に最初にできて最高の方法は、人に調和し寄り添うことです。

なぜならデザインは人々を射抜き、人々に入りこんでいくものだからです。

どうやってユーザを通じ自分の物語を人間味のあるものにするかについての素晴らしいビデオを見せたいと思います。


Tropicana - Soleil






ありがとう。



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以上です。







Elle Luna様、Brenden Mulligan様、Open Network Lab様、お疲れ様でした。