2012年9月6日木曜日

『アジャイルサムライ横浜道場 特別編 パネルディスカッション』ノート


2012/09/06日に開催された『アジャイルサムライ横浜道場 特別編 パネルディスカッション』のノートです。

http://www.zusaar.com/event/355105


誰が何を発言したかというところで曖昧なところがあったので、話者の名前は全て伏せました。



◆インセプションデッキ使ったことはあるか?

◇登壇者A
・契約した段階でやることは決まるので、インセプションデッキをやったことはない
・それよりはチームビルディングをやっている
 →プロジェクトが始まったら、なぜここにいるか?をやる
 →これをやるとだんだんベクトルがあってくると思って活動を続けている

◇登壇者B
・実はアジャイルをやっていない
・アジャイルやる理由には方向づけが必要
・「とりあえず、イテレーションや振り返りをやっているからアジャイル」みたいな所も多い

◇登壇者C
・アジャイルは変化に対応すること
・アジャイルでは振り返りが一番大事だと思う
・振り返りの中から方向付けを行っている
・最初に決めたことは正しいとは思っていない
・何をやっていて何を目指すか、という方向付けは変わっていく

◇登壇者D
・結論として方向付けを失敗した
 →受託した段階で、お客様には何かしらの課題がある
 →参加したプロジェクトでは課題は明確だった
 →お客様に現状維持というところがあった
 →こちらから提案をして遂行していた
 →こちらとしての意向もあったが、そちらにはならなかった
・インセプションデッキでもなんでもよいので、お客様が抱えている問題をきちんと共有する必要がある

◇登壇者E
・チームがあって、チームである程度何を作るかが決まっている。
 →方向付けはそこでできていいる。
・インセプションデッキを作って一番盛り上がったのは、やらないことリスト
 →チームメンバーででやると考えていることがバラバラだった
 →これが方向付けになって盛り上がった

◇登壇者F
・アジャイルでやりたいという話がくる、このときに「やり始めたら上司は基本的に口を出さない」と約束する
・最初はチームはうまく回らない
 →心配になっても口は出さない
 →気になるなら私に相談しろと言う
・チームには段階がある
 →まずは期待や課題・やって欲しいこと(TiDD・タイムボックス的なもの)を伝える
 →やったら次の希望を言う
 →次に一時間面談を行う
 →→「あなたは何をやりたいか、どういう方向性をやりたいか」「こちらとして期待するものは何か」など
・そうやってチームとしてやりたいことの暗黙知をためていって、方向付けをしている


◆方向付けフェーズやお客さんの意向を探るときなど、どうしているか?

◇登壇者C
・今はご年配が使うシステムを作っている
 →そこでの使いやすさは"自分の使いやすさ"とは違う
 →想像して、ヒアリングして、ちゃんと対象の具体的なデータを集めてこないと具体的な方向性は出せない
 →→そこで手を抜くと、内側によった自分達だけが考えたシステムになってしまう
・自分達が生みだす価値が何かを考えたら、使う人をできるだけ想定するしかない
 →使うターゲットが明確なら楽

◇モデレータA
「自分は農協のシステムでタブをつけたら、それは誰も使わないと言われたことがある」

◇登壇者B
・ユーザ会社とシステム会社の偉い人で方向付けが違うことがある
 →そうすると作っても平謝りするハメになる
 →「そもそも何を作ろうか?」「何のために?」「何を効率化しようとしてたの?」というのをやらないといけない
・理解できないものに100%の頭を使うことはできない。

◇登壇者C
・大きいシステムだと全員に周知できないのが問題だと思っている
・方向をごく一部の人が握っているだけだとうまくいかない
・その齟齬を解消しようとするのがアジャイル

◇登壇者D
・お客様のほうで制度を変えようという話があって、お客・コンサル・偉い人の話は合っていた
 →でもそれぞれ方向付けは違っていたのかな?と思う


◆みんなの方向がバラバラだと気付いたときにどうしたか?

◇登壇者B
・バラバラなのは話がまとまってないから
・おなかがすいているというのが一致していても、それぞれの状態が異なる(とにかく食べたい、空腹だけど胃もたれしている…など)

◇登壇者F
・似たような状況があった
 →POはある程度の責任を持っている
 →でも彼がユーザにとって本当にいいアイデアを持っているかというと、そうではない
 →そうなるとPOに対して、いい関係を作ったりモデリングをしても答えが出ない
 →そうするとPOはしょうがないとして、エンドユーザを見つけてそこにアプローチしようとしている。
 →→でもエンドユーザは忙しい
 →→その上の人に働きかけして、デモの時間をもらったりした
 →→そうやって少しずつ関係を作っている
 →→→そうやるとチームが顧客の欲しいものについて考え始める

◇モデレータB
・そもそも人のことを知らなさ過ぎると思う
 →10年後何をしたいかとか、家族のこととか
・何でそれが問題かというと、チームを同じ方向に向けるときに全員に同じやり方ではうまくいかないから
 →「ならば、チームのことをしらないでどう働きかけるんだ?」という話になる
 →「お客はもちろんだが、チームを知るために何をしているか?」という話

◇モデレータB
・向け方はいろいろある

◇登壇者F
・強制しても向かないので、向くようにする必要がある

◇登壇者C
・人はかえられることを嫌がる。変わるようなヒントを提示しないといけない

◇登壇者F
・だから先に聞く
・そこから「そこを僕は期待している」というと喜んでもらえる
 →その人のキャリアも含めてモチベーションを上げていくことを考える

◇登壇者C
・どうしても合わない人もいると思う

◇登壇者A
・みんな人間なので、そこは信頼関係
・相手が困っていることを助け、信頼してもらうことを繰り返し、関係を築く
 →そうすると、こちらがやりたいことができるようになる

◇モデレータA
・チームにコミットしてもらい、チームとしてプロダクトにコミットしてもらわないといけない

◇モデレータC
・作るべきフェーズがとっくに終わってるのに、インセプションデッキが入って無いという話があったが…
→インセプションデッキはいつ作ってもよいもの


◆アジャイルをやると問題が早く見つかって早く対処できるという。本当に?

アジャイルで見つかるものも見つからないものもあると思うが?

◇登壇者C
・アーキテクチャの根幹に関わるようなもので、ちょうど見つからない問題があった
 →アジャイルはコミュニケーションを活発にする手段
 →→チームでは活発的になって、その中で出るような話題は見つかる
 →その隣のステークホルダー、想定しきれなかったユーザの持っている問題は見つけられない
 →→→それで酷い目にあったりする
・コンセンサスが取れていたというところで思い込みがあった
 →それはアジャイルどうこうというより対話のミス
 →そういうものはアジャイルでも取れないよ?

◇モデレータC
「その問題はなんで見つかったの?」

◇登壇者C
「リリース前に想定していたユーザに話をしたときに突っ込まれた」

◇モデレータB
「ポイントポイントでデモしてなかったんですか?
顧客プロキシにはデモしていたけど、顧客にはしていなかったってこと?」

◇登壇者C
「そう」

◇登壇者A
「前向きに捕らえたらリリース前に見つかったという話では」

◇登壇者C
「そうだけど、そのときに作ったひずみで今苦労しているという」

◇モデレータB
「アジャイルで早く見つかるものとそうでないものがある」

◇登壇者A
「今のケースは早くフィードバックを貰えたからいいのでは?」

◇モデレータB
「今のはウォーターフォールでも同じでしょ?」

◇参加者
「逆にアジャイルだからこそ見つからなかったことって?」

◇登壇者B
「アジャイルでは問題がイテレーションごとに解決される。
お客様が暗黙に期待してしまうことがある。
いつか何とかしてくれるでしょ?という」

◇モデレータB
「それはプロダクトバックログの運用ミスのような気がする」


◆参加者
「新しく機能が発生したゆえに、前の問題が出てきたことは?」

◇登壇者A
・ジャストインタイムで機能を提供していたときがあった
 →増改築の繰り返していた
 →何ヶ月かあとにアーキテクチャが破綻した

◇モデレータA
「それはじっくり設計したら回避できたパターン?」

◇登壇者A
「どこかでリファクタリングしていればどうにかなったと思うが、ある程度大きくなるとどうにもならない」

◇モデレータA
「リファクタリングしていればなんとかなった?」

◇登壇者A
「傷は浅かったと思う」

◇登壇者C
「リファクタリングし損ねたのと、アーキテクチャが破綻していたのは別」

◇モデレータA
・リファクタリングっていうのは、ご飯があふれているかきっちり詰まっているかの話でしかない
 →そこに入らないものはそもそも入らない

◇登壇者F
・今のような事例が起きたら、まずチームに問題があったのでは?と考える
 →案件やチームによって、その事態の重要度は違う
 →自己組織化が基本なので、それはチームで答えを出してもらって次に生かしてもらうようにしてい
 →→要はチームの力不足
 →→本当は隣の人にも気をつけないといけなかった
 →→それはウォーターフォールでもアジャイルでも変らない
 →→ならどうして最初から考えられなかったのか?というのを促す


◆モデレータA
「チームの力で解決できると言う話であれば …すごいチームなら何でもできる?」

◇登壇者F
・精鋭が集まればウォーターフォールでもアジャイルでも何でもできる
 →だから、問題にチームでアプローチし、チームなりに答えを出してもらう

◇登壇者D
・早くお客に見せていて気がついたことがある
 →コンサルのいうとおりに作っても、お客に「違うよ」という風に言われる
 →→コンサルの方向とお客の方向は違う
 →→アジャイルならそれを拾っていける

◇モデレータA
「実はコンサルが言っていることが正しくて、ユーザが間違っている場合があると思う。自分の中でユーザ側に倒した理由は?」

◇登壇者D
「お客様の声がすごい強かった」

◇モデレータA
「確実に地獄行きでも?」

◇登壇者D
「そこは取捨選択した」

◇モデレータB
・どのくらいの地獄かによる
→マイルドな地獄なら行かせる
→会社がやばくなるなら絶対とめる

◇モデレータD
「アジャイルかどうかと問題が早く見つかるかはあまり関係ないような気がする」

◇登壇者E
・アジャイルじゃないと「問題が見つからない」と言って隠す
 →アジャイルだと隠しようがない
・今までだと(作成中に)必要だとわかっていても、その時点ではやらなかった
→そのまま作って、使いにくくなってからやっていた
→アジャイルだとその段階で手を入れられる

◇登壇者D
・けっこう頻繁に聞けたときはあまり炎上しなかった
→結局、コミュニケーションがとれてないと駄目


◆ウォーターフォールについて

◇モデレータA
・ウォーターフォールはある時点での幸せな話
 →後で本当かどうかは誰にもわからない
・ウォーターフォールで違ったら、また滝を流せばよいだけ
 →そこでとめてしまうというのがそもそもの原因
 →→スパイラルで回せば解決するのでは?


◆ストーリーは必要になったら詳細化すればよいというが、そもそも詳細にしないと分からないことがあるよね?ということについて

◇参加者
・ユーザストーリのときは詳細に分析するなというが…
 →普通の人の場合、具体的な画面や例外ルールを見せて初めて気付いてくれることがある
 →→詳細な分析をして始めてユーザが受け答えできるという話
・詳細な分析をしてみないと、アーキテクチャに関わるような問題が見つからない場合がある
 →そこは難しい?

◇登壇者A
 →→それはリスクをどうヘッジするかと言う話
 →→→やったことがないというリスクを最優先にするか、価値を最優先にするか

◇参加者
アーキテクチャに関わるところはリスクだから最初にやろうということ

◇登壇者F
・平鍋さんが言っていたこと
 →ショートケーキを小さく作るのと同じで、アーキテクチャも本当に薄く作っていく
 →それでうまくいくのではないかと思ってやっている
 →アーキテクチャもアジャイル的に育てていっている

◇参加者
・ファウラーも「アプリもアーキテクチャも同じ人がやっていないと分厚くなる」言っていた

◇登壇者F
・チームでコミュニケーションできるようにして、横のつながりを作っている
・3週間枚に集まってアーキテクチャやフレームワークを入れていってもらっている


◆モデレータA
「アジャイルを始めるにあたっての最初の問題は?」

◇登壇者E
・ベロシティが0だった
・ストーリが大きすぎた上に、何をしたらいいのか分からない状態だった
・そこがわかってからはよくなった

◇モデレータC
「それは問題?見つかってよかったね?」という話では?


◆モデレータD
「誰も興味を持ってくれないとかは?」

◇モデレータD
・飲み会でうんというまでやるとか
・力を見せるとか
・最初から全ては使えないので一部分だけ使って効果を見せたり
・早く帰ることができるようにしたりとか

◇登壇者D
・名前で言うと拒否られるというのはあるんじゃないかな
 →アジャイルと言う名前を出さないときはよかった
 →アジャイルといった瞬間に「えー?」と言われた

◇登壇者C
・朝会が長いと言うのがある
 →チームにしゃべる人がいると長くなる
 →→個別の状況に入ったりとか
 →→→そういうときはきらないといけない

◇参加者
「それってファシリテーションの能力では?」

◇登壇者C
・そういう人がいるとわかっていても、結局長くなる
・的確な時間に収めるというのはやはり難しい

◇参加者
・朝会の問題は、毎日進捗会議をすることになってしまうということ

◇参加者
・朝会のあるある …集まらないということが多い

◇モデレータB
・特定の人がいないと集まらないとか

◇モデレータA
・最初に席をたつ人はいつも同じとか


◆モデレータA
「振り返りとかで何かないですか?」

◇モデレータA
・問題を人に落とすというのがある
 →チームではなくて、犯人探しになるとか

◇登壇者F
・KPTがどんどんたまっていった
 →何をどうしたらいいか分からなくなったことがあった
・問題には新鮮さが必要
 →3週間前の問題なんかだんだん忘れてしまう

◇モデレータA
・賞味期限を決めて自動で捨てる人もいる

◇モデレータB
・アクションがないからそうなる
 →Doneの定義がないとなりがち

◇登壇者B
「KPTに何かアクションがとれなくて、ただの愚痴になる状況がある」

◇モデレータA
「制度と会社と仕組みのせい」というのが最初は出がち

◇モデレータB
・そういうのが多いのはもう組織の問題
・チームで拾えないものはマネージャが拾わないといけない
 →こんなこと無理だろうなと思って出てこなくなることの方が怖い

◇登壇者A
・顧客不在
・担当の方が日常業務を持っていて時間をとれないとか
・POが業務知識が薄かったり倒れたりして、来なくなったことがあった


◆そもそもアジャイルをやるスキルがない

◇?
・ペアプロでいいのでは?
・そういうのをやりたがらない文化がある

◇モデレータA
「空気を読んだり、気にしたらダメ」

◇登壇者C
・アジャイルをやるときのチームの意識を一定ラインに保たないとダレる
 →自分の中の人の規律を守らせないといけない
 →守らなかったからって明確なペナルティがあるわけではなくて、緩やかにダレていく
 →→そこでスクラムマスターが欲しいと思う。


◆モデレータB
「個人のバイオリズムもあるのでは?」

◇登壇者C
・気が乗らないとかそういう心理的なものを維持するのは本当に難しい
・でもそれができないとどんどんダレる


◆登壇者A
「だれる原因は?慣れとか?」

◇登壇者C
・自分自身のチームへの責任感をどこまで取れるか
・無理をするというのはアジャイルではない
 →確実にやれる範囲をやるというのはあるが、そこに甘えるとどんどん下がっていく


◆モデレータA
・それは期待マネジメントでは?
 →いつも真面目じゃなくていいのでは?

◇モデレータA
・これらは別
 →アジャイルやるぞ!というテンションの時のオーバーコミット的なもの、それがが落ち着いている
 →単にだれている

◇登壇者D
・ベロシティを計測していたら、見積もりも苦しまずにすむようになった

◇登壇者C
・やれる範囲の見込みがあがった

◇モデレータC
・見積もりの精度も上がった


◆モデレータA
「ベロシティって伸びてる?」

◇登壇者D
ちょっと伸びてるかもしれない

◇モデレータA
伸びてるならいい

◇登壇者D
・残業していないので、けっこう自習する時間がとれていろいろ見えてくるというのがある


◆参加者
「チームのベロシティの上がり具合というのは?」

◇登壇者C
「CI、ユニットテストを明確に意識してくれるようになった」

◇登壇者A
「もうちょっと進むとプラクティスがあるのは当たり前になる」


◆モデレータA
「お客様の変化ってありませんでした?」

◇登壇者B
・アジャイルをやったらフィードバックが早くなった
 →お客様がなんでも言うようになった
・聞き分けもよくなった
 →今まで見たいな無理押しがなくなった

◇登壇者D
・お客様とコミュニケーションを取っている
 →お互いに言いやすくなって信頼関係が築けるようになる

◇登壇者E
・メンバーが明るくなった
 →今まではもくもくとやっているだけだった
 →手が空いたら他の人を手伝ってくれるようになったり、活発になったような

◇明るくなったメンバー
・なんか明るくなったねって言われた
・「進んでこれやったらもっと楽になるのに…」というのをやるのに抵抗がなくなった
・やってもいいんだという気付きがあった

◇モデレータA
・前の会社でカスタマサポート向けの仕事をしていた
 →その仕事を何のためにやっているか、お客様の誰も知らなかった
 →お客様にプロダクトバックログを作ってもらった
 →→そうしたら、お客様が「最終的に会社の業績を良くするためには?」と考えるようになった
 →→→それはすごくよいと思った
 →→→これが最終形だと思う







アジャイルサムライ読書会 横浜道場事務局の皆様, モデレータの皆様, パネリストの皆様、ありがとうございました。

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