2012年9月2日日曜日

『アジャイルサムライ読書会 新宿道場#10 - トークセッション』ノート

2012/09/01に開催された『アジャイルサムライ読書会 新宿道場#10』のノート。これは前半のトークセッションです。やはり、マスターセンセイの体験から語られる言葉は一味違うというか …私とは経験値が圧倒的に違うということを痛切に感じました。

何年か後に読み返したときに、今とはまた違った角度から読むことができれるくらいに経験を積んでいきたいと思います。



◆トークセッション

◇マスターセンセイ

・西村直人氏
・角谷信太郎氏


◇質疑応答

※「」がついている発言がマスターセンセイのものとは限りません。ご了承ください


Q. アジャイルやりたい人の転職率の高さは何か?

A. アジャイルはチーム開発。チームでないと始められない

「1人でペアプロしている時期もあった。少しずつ回りを巻き込めたが、本を読んでいるうちにもっと速いペースでやりたくなった」

「「あの人とやりたい!」か「会社を変えたい!」のどちらのパッションがあるかで行動が変わる」

「会社を変えることにパッションがある人もある。会社を変えるのはまた別のパッションということ。自分はそうではないので会社を変えた」



Q. 転職したらハッピーになれるのか?
Q. 転職してすぐにハッピーになれるのか?


A. 自分が転職したときは「アジャイルやってないよ?」といわれた

「客先常駐の仕事ばっかりだった」

「社内の勉強会、プロジェクト間での情報交換などをやっていた」

「アジャイルなプロジェクトはなかったので、アジャイルにできるところは勝手にアジャイルにして始めた。カンバンとか朝会も勝手に始めた」

「現場は少しずつよくなっていった。自分達のやり方が認められることはあったが、それでも変わらないことはあった」

「そのうち、二重にやることの限界が分かってきた。途中から「自分達で仕事を作るぞー」と集まってどうやって契約を取れるかを集まってやった」

「自分で客を取ってまで仕事をするぞ!という人が多かったので、勝算があるとは思っていた」

「売り上げのことは必ず言われる。数字さえ取れば文句は言われない」

「東京は手ぶらできたので色がなかった。自分達で開拓できた。「今までやっていた」ものがなかったのでやりやすかった」



Q. アジャイルって儲かるの?

A. あまり儲からない

「(アジャイルコーチは)いなくてもできるようにするのが仕事なので難しい」



Q. アジャイルの利点は適正なお金で働けること。儲かりすぎたらいけない。と聞いていたので安心した

A. もうちょっと儲かりたいとは思う

「食べられるかというと …なんとか食べられる」

「もらえる額が決まっている場合、長期間働かされるのでしんどいが、アジャイルはやっただけなのでそこはよい」

「ただ、終わったらそこで終わりなので…」



Q. アジャイルってエンジニアのマインド・スキルが重要だという意識があるが?

A. チームでできるようになっていればかまわない。チームのスキルセットが偏るのはよくない

「スキル重要と呼ばれていく現場は、だいたいレベルが低い(アジャイルをやる以前で、そもそものスキルが低い)」

「お客に価値を届けるという人が多ければ価値をとどけやすい」

「今できない人もプロジェクトの中で学んでいけばいい」

「それは上の人がどれだけ関わるか。成果を出すためにどうすればいいか考えてくれれば結果が出る」

「集めてスクラムやって、だとそこそこの成果しかでない。」

「みんなにアジャイルの価値観がなくてもできる」

「最初は違っても、実際やれば化ける人がいる」」

「縦でスライスして動かすやり方を知り、今までとは違うやり方で成果が出せると気付くと変わる人いる」

「ユーザーからのフィードバックがあると、やっている方も面白く感じる」



Q. キャリアが与えられるものから自分で作るものとなってやる気が出るのか?

A. そうかもしれない

「チーム振り返ってもらうと「仕事の幅・視点が広がった」というフィードバックが多くもらえる」



Q. 与えられるものへの認識が"苦痛"から"もっとやりたいもの"へ変わるというところもあるか?

A. 何がヒットするかは人による

「押しても引いてもだめだという人もいる。絶対変わりたくない人もいるけど、それは100人に1人か2人。だいたいは(度合いはあるけど)順応できる」



Q. 仲間がいないとつらいというのがある。そこへのアドバイスは?

A. やりたい人がいるところに行くのがよいのでは? 一番お勧め!

「プロジェクトの進め方などについては話合うが、そもそも仕事をどうすべきか?ということを会社で普通に話すことはない(飲み会はともかく)。そのような会議体はないし、定例で行ったりもしない」

「言わないだけで考えている人はいる。送別会で「実は…」と切り出す人がいたりして「おいおい!遅いよ!」となることはある」



Q. 失敗談とかありますか?

A. 「なんとかうまく行ったけど、もう一回やれば(もっと)うまくいく!」というのはある。(そういう意味では)失敗ばかりしている

「お客さんの期待をコントロールし、どこまでできるか理解してもうことは重要」

「きちんと踏み込むことも重要」

「リリースにあたっての重要人物や本当の目的などのTough questionも重要」

「"安請負"や"やれると思ってた"で失敗することが多い」

「お客様から言われたことをただやれば価値になると思っていた時もあった」

「「ツールがこうしろと言っている。だからこうする」というのは駄目」

「ツールのせいにしたり、手順を強要したりするのは駄目」

「失敗をアジャイルのせいにするのはよくない。プロジェクトは1回しかないので、何かのせいにするしかないが… でも、そういうところはアジャイルでなくても失敗する」



Q. ?

「今までの仕事のやり方とは変えていかないといけない」

「昔からある会社は(昔から)違うやり方をしているから、(変化を)やりづらくなっている。大きい組織なら少しずつ変えていくしかない。」

「組織のとしての理解・サポートが重要」

「決める人と作る人の距離を近くしないといけない」



Q. 書類を求めるような、「がちがちに作ってあるから変化に対応する必要がない」と、言っている現場にはアジャイルは向かないと思うが?

A. 「変化しない、タスクがぶれない、要求がぶれない」というのであれば無理してやらなくていい



Q.  テストが実装工程の後にあるプロジェクトの場合、テストファーストで書いていると(バグ発生率などで)困ってしまう。どうすれば?

A. 自分達が書いたテストを後工程でまとめて資料にする

「ついでに既に書いたテストを整理するのもよい」



Q. 大事な要素が後になって判明して大変なことになることがある。どうすれば?

A. わかってから着手すればよい。

「全部決めるのは難しいが一週間なら決められるよね?というのがアジャイル。先のことは難しいという話。フィックスしたものを作ればよい」

「逆はWBSの「先の話は見切ったー!」という話。でも三ヶ月後なんてわからない」

「考えたり、アイデアを出したり、というのも普通にストーリーに入れたりする。あやふやなものを細かくちぎってストーリーにするのが正しい」

「『ふわふわしたものをただ「アジャイルに」とやってもうまくいかない。ただそれはウォーターフォールでもアジャイルでも同じ」

「ユーザはストーリを書けない。それでは価値を計測することもできない。お客様のほうに説明することも大事」

「いったん小さくてもいいから決める。それに対して追加・変更を行う」

「ミニマムでも完成させれば、それは使えるものなので、そこにたいして追加・変更をもらう」

「「できません」とは言わない。「やるけど、できる量は決まっているのでどちらにしますか?」とする。それが変化に対応するということ」



Q. ?

「詳細設計が終わってドキュメントを作っても、結局やり直すことになる。引き継ぐならただ読むだけならだめで、その後ろにあるものも理解する必要があるから。「製造して」とドキュメントを渡されても、製造側は結局全部やることになる。」

「製造フェーズで全部やり直すことがあって、それを詳細要件定義と呼称したことがあった」



Q. ドキュメントをどれだけ作る?

A.  必要なものは作る

「中の人はほとんどドキュメントがいらない」

「お客などに毎日会う環境はいずれなくなる。自分達以外の誰かに引きつぐときにドキュメントを残す必要がある」

「ユーザに合わせて作る」

「全部作るかと言うとそうではなくて、減らせるものは減らせる」

「ドキュメントを書くかわりに、(動作を理解するための)スクリプトは全部作る、というやり方もある。そういう場合、こちらから自信をもって説明することが必要」



Q. 後から入ってくる人向けのドキュメントは?

A. 毎週入ってくるなら作る

「聞いたほうがドキュメントを作るのは良いプラクティス。ドキュメントができあがるので、教える側にもメリットがある」

「何が判らないのか、教える側には分からない。だから聞いた側がドキュメントを作る方がよい」



Q. その日のうちに作ってくれと言う現場があって、そういうところだとエンジニアには無限の負荷がかかる。ユーザ側から見た品質も悪い。そういう現場で人間らしい働き方をするためには?

A. まず見える化

「物凄い量の仕事が来ていることをきちんと見せる。あからさまにおかしいという状況を見せれば、口答えできる」

「退社時間や睡眠時間の見える化も有効」

「見せれば偉い人の誰かが気付く。気づかないなら、それは…」



◇その他

「イテレーションの運営の話について、アジャイルサムライの206ページにしれっと大事なことが書いてある」

「"昨日のテレビの面白いこと"と同列で"アジャイルをやりたい"では誰も信用しない。やはりパッションが必要」

「意外と学習効率って悪くて、学ぶには時間がかかることに気をつける。業務時間外に勉強会などに参加して学んでいる人と、たまたま隣の机に座っている人。使っている時間が全然違う」






西村直人様、角谷信太郎様、tmmkr様、tk0miya様、eji様、ありがとうございました。

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