2012年12月18日火曜日

『Running Lean -実践リーンスタートアップ 刊行記念 著者アッシュ・マウリャ氏 来日特別セミナー at Yahoo! JAPAN』ノート - 導入・理論 (1 / 4)


2012/12/17に開催された『Running Lean -実践リーンスタートアップ 刊行記念 著者アッシュ・マウリャ氏 来日特別セミナー at Yahoo! JAPAN』のノートの前半です。



◆カスタマーとお金を出す人とスタートアップの中の人の話

◇まずは悪いニュースから…
・ほとんどのスタートアップは失敗に終わる
 →これが現実
・でも失敗するのはスタートアップだけじゃない
 →大企業が新製品を市場に投入するときも同じ
 →→大企業の中の人もアントレプレナー精神が必要
・そして、成功した例の2/3は途中でプランを大きく変えている

◇Not a better plan A but a path to a plan that works
・成功するためには何が大事か
 →必ずしも完璧なビジョンは必要ない
 →→計画がワークするように調整できるか
 →→それをリソースが無くなる前にできるか

◇今日話すこと
・"plan A"から"ワークするプラン"へ、システマチックに調整できるということ
・それをリソースがなくなる前にやるにはどうすればいいかということ
 →スタートアップはリソースがなくなってダメになる、ということが多い

◇どうしてスタートアップを成功させることは難しいのか?
・普通のスタートアップはどういう流れで進むのか
 →まず良いアイデアが浮かぶ
 →→そのアイデア(ソリューション)に恋してしまう
 →→→そしてそれをビルドする
・これが一番典型的な形
 →ソリューションへの情熱があるから動く、ということが多い
 →→それはマーク・ザッカーバーグも同じだった
・我々はプロダクトをそういう風に見てしまいがち
 →「どういう風にペイするか、どういう風に開発していくか」というのが一番難しい
・お金を確保するためにどうするのか?
 →投資家を探したり、社内なら予算をくれる人を説得するのが普通

◇ではお金を出してくれる人はどう見ているか?
・彼らは、我々の考えたソリューションに恋なんてしていない
 →ソリューションなんて何でもいいと思っている人が多い
・彼らの関心毎は1つ
 →いかに提案をスケールアウトさせ、ビジネスモデルとしてペイさせるか

◇お金を出す人が注目するものは何か?
・魅力(traction)があるか?
 →作っている人以外にユーザがいるか?
 →ユーザがバリューを感じているか?
・コストストラクチャとレベニューストリームに関する計画があるか?
・どれくらいのカスタマー数・市場規模があるか?
 →カスタマーが誰かなのかは気にしない
・ディフェンス力があるか?
 →成功した後、どれだけ他社から市場を守れるか
・まとめると
 →魅力(traction)があるか?
 →カスタマーや市場に展開できるか?

◇そこまでの魅力があることが証明できていないなら?
・それはなんとかしないといけない
 →まずはカスタマーから始める必要がある

◇カスタマーはどう見ているか?
・自分の課題やproblemを解決してくれるものが欲しい
 →始めはあなたのソリューションへ恋してない
・関心は「あなたはどういうソリューションを提供してくれるのか?」
 →課題とソリューションの間にあるのがプロミス
 →→プロミスに注目するのがカスタマー
・この時点で注意すること
 →どんな課題を対象にするのか、というのは具体的にイメージできているべき
 →→そうすれば、どういうカスタマーに確認すればいいか分かる
・facebookも最初はカスタマーを絞っていた
 →ハーバード大学の学生のためのサービス
 →今は誰でも使っているけど、最初は違った
・誰にでも受けるよう広いスコープにしてしまうと、結局は誰にも受けないものができあがる

◇次にカスタマーが気にすることは?
・どれだけ負担がかかるかということ
 →負担などいろいろなものが条件を満たしていて、プロミスが魅力的なら参加してくれる
 →→参加してもらえれば、いろいろ試してもらえる

◇True productとは何か
・ビジネスモデル全体のこと
 →ソリューションではない

◇アントレプレナーの本当の仕事は、ビジネスモデルが持っているリスクを削っていくこと
・対話をとおしてリスクを削っていく
 →顧客と
 →社内の人と
 →投資家と
 →アドバイザーと
 →ときには競合他社と
・どう対話するか?
 →それはRunning Leanに書いてある



◆Running Leanの3つのメタ原則
・Document your plan A
・Identify the riskest parts of your plan
・Systematically test your plan

◇メタ原則の基になる考え方
・本当のプロダクト(True product)はビジネスモデルだということ
・ビジネスモデルを考えるときもテクニカルな観点から説明が付くということは重要
 →そこは注意してやった

◇メタ原則1 : plan Aの文書化
・これはなんでもそう
 →家なら設計図
 →旅行なら旅程表
・きちんと文書化しようというもの

◇通常ならビジネスプラン(事業計画)やビジネスケースとして文書化する
・ビジネスプランを書くことが楽しかった人はどれだけいるか?
 →ビジネスプランはとてもpainful
 →→しかも書けと指示した人は最後まで読まない
・でもこういうことをしっかりやるのはアントレプレナーには非常に重要
 →その前にどれだけ対話ができているのかという問題があることに注意

◇エグゼクティブサマリとかエレベータピッチを書けといわれることもある
・どうせそういわれるなら…
 →最初から1ページに綿密でシンプルなものを書くのはどうだろうか?
・それがLean Canvas
 →こういう形でも充分作ることができる

◇事業計画やビジネスプランを作ったことがある人は、見出しを見るだけでLean Canvasに何が書いてあるかわかる
・ビジネスで重要となる、コアになるものを書き出したもの
 →特にリスクに着目している
・ビジネスモデルキャンバスに調整を加えてある
 →よりアクションがとりやすいように
・分割統治
 →複雑な問題は要素ごとに分解するという方法
 →Lean Canvasも1つ1つが独立した観点からまとめてある
・だからといってバラバラで良いわけではない
 →最終的にはジグソーパズルみたいに1つにまとまらないといけない

◇メタ原則2 : どこが一番リスクを高いか見つけるには?
・ソフトウェア開発はリスクが高いところから手をつける
 →それはビジネスも同じ
・どこにリスクがあるか、どうやってそれを低減するか
 →これが成功へのひとつの道
・EasiestではなくRiskestなところから始めるということ
 →これはポイント
・プロダクトを作るのはEasiest
 →特にプロダクトを自分で作っている人にとってはそう
・プロダクト自体が失敗するのは作りこみの問題ではない
 →カスタマーが見つからない、市場がないというのが一番の理由

◇どこがリスクなのか見極めるためには?
・Problem/Solution fit
 →課題と解決がどれだけフィットしているか
 →解決・対策に値する課題が存在しているのか
・もともとはトヨタ式、リーンの考え方
 →外・現場に出て行かないといけない
 →自分がいいと思っていることだけをやっていてもダメ

◇カスタマーに存在する問題、その中で何が重要なのか知る方法
・これはいろいろあると思う

◇カスタマーの重要な問題を理解した上で出来ることは
・何を最小単位で提供できるか
・MVP(Most Viable Products)
 →本当に小さな規模のソリューション
 →小さいけどカスタマーにバリューは提供できているもの

◇今までの伝統的なやり方
・時間をかけた作りこみ、テスト、調整
 →それからくカスタマーに使ってもらっていた
 →→そうやってできたものを使ってもカスタマーは迷子になってしまう
・途中のものでも、それがカスタマーの望むものか確認しながら進める
 →全体が出来上がってからカスタマーに出すのではなく
・小さい規模でも「これはカスタマーがバリューを感じている」という確認をとる
 →それからスケールするというステージに進むべき

◇通常のやり方とProblem/Solution fitの違い
・どのサイクルでもカスタマーを巻き込んで進めている
・プランをまとめて、そのプランにどういうリスクがあるかを確認する
 →そのリスクに対して体系的にテストもやるべき

◇メタ原則3 : システマチックにテストする
・Experiment - Eric RiesのBuild-Measure-Learnのサイクル
 →アイデア(仮説)からスタート
 →それを元にプロダクトを作る
 →→本当に小さなもの、全部ではないもの
 →実際に使ってもらう
 →そして定量的定性的に計測する
 →データとして確認する
 →データを活かして学習する

◇学習することによって調整を行う
・学習することで、想定していたリスクの正しさが分かる
 →違えば修正して進めばいい

◇Experimentを回していく上で重要なもの
1. スピード
 →時間は、スタートアップにとって一番大切で一番足りないリソース
2. 全てのExperimentはLearningで閉じる
 →成功のいかんに関わらず学ぶことはできる
3. 適切なフォーカスができているか
 →回そうとしているExperimentのフォーカス自体が正しいか
・フォーカスをきちんとやる
 →これがないと、Experimentのサイクルを回してもアクションが伴わなくなってしまう
 →→カスタマーすらついていないのにサーバを増設したりコードを書いてしまったりとか

◇次の3つを、フィードバックループを回す形でやっていく
1. Document your plan A
2. Identify the riskest parts of your plan
3. Systematically test your plan
・左から右、右から左へと



◆リーンスタートアップとは何か

◇リーンという言葉自体が昔は誤解を生んでいた
 →チープとか良くないプロダクトであるとか

◇リーンはトヨタの製造システムから取ってきた考え
・リーンの考え方の重要なポイント
 →いかにムダを省くか
 →いかにリソースを有効活用するか
・お金は重要なリソース
 →ただ、お金が一番価値があるリソースというわけではない
 →一番価値があるのは時間
・お金や人的資源は増減できる
 →時間は一定方向にしか進まない

◇自分のリーンスタートアップの定義
・ある一定の時間の単位で、何が一番リスクなのか最も効果的に学べるやり方






Ash Maurya様、O'Reilly Japan様、Yahoo! JAPAN様、ありがとうございました。

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